Imipenem/Cilastatin sodium (MK-0787/MK-0791) の臨床的検討

• Published in: CHEMOTHERAPY Vol. 33; no. Supplement4; pp. 547 - 550
• Main Authors: 渡辺, 一功, 前野, 秀夫, 浜本, 恒男, 森, 健, 池本, 秀雄
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益社団法人 日本化学療法学会 1985
• ISSN: 0009-3165; 1884-5894
• DOI: 10.11250/chemotherapy1953.33.Supplement4_547

メルク社で開発されたカルバペネム系抗生物質であるimipenem (MK-0787) と同社で開発された腎臓のdehydropeptidase Iの特異的阻害剤のcilastatin sodium (MK-0791) の合剤を緑膿菌による難治性気道感染症延7例に投与し, その臨床効果と副作用について検討した。 対象とした症例は男性6例, 女性1例, 年齢分布は42歳より82歳 (平均年齢60.1歳) におよび, 疾患の内訳は気管支拡張症3例, びまん性汎細気管支炎2例, 肺癌および間質性肺炎, 間質性肺炎および続発性気胸に合併した気道感染症各1例の計7例である。投与方法は本剤1回0.259, 1日2回, 1回0.5g, 1日2回, 1回1.0g, 1日2回であるが大多数が1回0.5g, 1日2回の30～60分間点滴静注で行なった。 臨床効果は効果判定不能例1症例を除いた6例中, 有効3例, やや有効3例, 疾患別では気管支拡張症, 間質性肺炎と続発性気胸, 肺癌と間質性肺炎に合併した気道感染症各1例が有効であった。 細菌学的には2例で緑膿菌は消失したが, 1例で菌交代がみられた。また2例で緑膿菌は減少したがP. maltophiliaに菌交代を認めた。 副作用については本剤投与による発疹, 発熱, 嘔吐, 下痢などの臨床症状はなく, 臨床検査値では1例で軽度の好酸球増多を認めた。 本剤は緑膿菌をはじめとする慢性気道感染症に有用な抗生剤の一つであると考えられる。