回虫を伴った肝原発のmantle-zone lymphomaの1症例

回虫を伴った,Weisenburgerら1)の言うA follicular variant of intermediate lymphocytic lymphoma (mantle-zone lymphoma)で肝に原発した1症例を報告した.腹部超音波像では石灰化を伴った,高輝度な腫瘍として描出された.肝血管造影では軽度の腫瘍濃染像を示した.これらの画像は肝悪性リンパ腫としては非典型的で,回虫に伴う炎症によって修飾を受けたと思われた.病理組織では,萎縮した胚中心の周囲に小型リンパ球が結節性に増殖し,周囲にはびまん性増殖領域を認め,mantle-zone lymphomaと診断できた.腫瘍の中心...

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Published in肝臓 Vol. 32; no. 11; pp. 1052 - 1057
Main Authors 濱戸, 教行, 森安, 史典, 小野, 成樹, 山下, 幸孝, 梶村, 幸三, 福原, 資郎, 木村, 達, 小澤, 和恵, 染田, 仁, 大熊, 稔, 鍋島, 紀滋, 森, 敬一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1991
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.32.1052

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Summary:回虫を伴った,Weisenburgerら1)の言うA follicular variant of intermediate lymphocytic lymphoma (mantle-zone lymphoma)で肝に原発した1症例を報告した.腹部超音波像では石灰化を伴った,高輝度な腫瘍として描出された.肝血管造影では軽度の腫瘍濃染像を示した.これらの画像は肝悪性リンパ腫としては非典型的で,回虫に伴う炎症によって修飾を受けたと思われた.病理組織では,萎縮した胚中心の周囲に小型リンパ球が結節性に増殖し,周囲にはびまん性増殖領域を認め,mantle-zone lymphomaと診断できた.腫瘍の中心部の胆管内には回虫が存在し,それを中心として石灰化していた.回虫に伴う慢性炎症の結果,肝悪性リンパ腫が引き起こされた可能性もあると思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.32.1052