特発性食道破裂の5例

1995年から2002年まで,当センターで特発性食道破裂の5例を経験した. 4例に縫合閉鎖術を行い, 1例は縫合閉鎖術にfundic patchを付加した. 2例は縫合不全を認めず,この症例は発症から手術までの時間が4, 6時間と短く,穿孔径が2cmと小さかった. 2例に縫合不全を認め,この症例は発症から手術までの時間が15時間を越えていた.うち1例は高度の縦隔炎を発症して死亡した. fundic patchを付加した1例は発症から手術まで15時間たっており,しかも頻回の嘔吐のために胃酸による縦隔の腐食を認めたにもかかわらず,縫合不全を認めず,軽快退院した.術後縫合不全が危惧されるときは,縫合...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 10; pp. 2435 - 2439
Main Authors 夏目, 俊之, 渡辺, 義二, 丸山, 尚嗣, 田中, 元, 唐司, 則之, 落合, 武徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2003
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Summary:1995年から2002年まで,当センターで特発性食道破裂の5例を経験した. 4例に縫合閉鎖術を行い, 1例は縫合閉鎖術にfundic patchを付加した. 2例は縫合不全を認めず,この症例は発症から手術までの時間が4, 6時間と短く,穿孔径が2cmと小さかった. 2例に縫合不全を認め,この症例は発症から手術までの時間が15時間を越えていた.うち1例は高度の縦隔炎を発症して死亡した. fundic patchを付加した1例は発症から手術まで15時間たっており,しかも頻回の嘔吐のために胃酸による縦隔の腐食を認めたにもかかわらず,縫合不全を認めず,軽快退院した.術後縫合不全が危惧されるときは,縫合閉鎖術に加えて穿孔を防ぐ方法を検討すべきであると考えられた.自験例を含む1990年以降の本邦報告98例の文献的考察を加えた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.2435