呼吸器感染症に対するL-105の臨床的検討

3位側鎖にthiadiazol基を導入した新規半合成セフェム剤L-105について臨床的検討を行った。 1) 肺炎5例, 呼吸器系二次感染2例, びまん性汎細気管支炎2例, 計9例の呼吸器感染症を対象とした。 2) 臨床効果は, 有効5例, 無効3例, 判定不能1例で有効率は8例中5例有効で62.5%であった。 3) G (+) 菌検出例は5例中4例有効 (80, 0%), G (-) 菌検出例は3例中1例有効 (33.3%) であった。 4) 分離菌のL-105に対するMICはS. epidermidis 0.1μg/ml, S. aureus 0.39~0.78μg/ml, K. pneum...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 34; no. Supplement3; pp. 271 - 277
Main Authors 川井, 孝子, 大久保, 隆男, 伊藤, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1986
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.34.Supplement3_271

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Summary:3位側鎖にthiadiazol基を導入した新規半合成セフェム剤L-105について臨床的検討を行った。 1) 肺炎5例, 呼吸器系二次感染2例, びまん性汎細気管支炎2例, 計9例の呼吸器感染症を対象とした。 2) 臨床効果は, 有効5例, 無効3例, 判定不能1例で有効率は8例中5例有効で62.5%であった。 3) G (+) 菌検出例は5例中4例有効 (80, 0%), G (-) 菌検出例は3例中1例有効 (33.3%) であった。 4) 分離菌のL-105に対するMICはS. epidermidis 0.1μg/ml, S. aureus 0.39~0.78μg/ml, K. pneumoniae 0.1μg/ml, P. aeruginosa 12.5μg/ml, F. meningosepticum 100μg/ml以上であり, 細菌学的には2例で消失, 1例で菌交代, 不変4例, 不明2例であった。 5) びまん性汎細気管支炎例で, 本剤19投与例の体内動態を検討し, 喀痰中へも0.2~0.4μg/mlの濃度で認められた。 6) 1例で蕁麻疹様発疹が認められ, 投与を中止したが本剤によると思われる検査値異常は認められなかった。 7) 本剤は, G (+) 菌のみならずG (-) 菌にも抗菌力を有する新しいセフェム剤であり今後とも有用な抗菌力となりうるであろう。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.34.Supplement3_271