腎不全におけるCefotetan (YM09330) の血清中濃度および尿中排泄動態に関する研究
新しく開発された注射用半合成セファマイシン系抗生剤Cefotetan (CTT, YM09330) の500mgを, 種々の腎機能を有する49例に静脈内投与した際の血清中および尿中濃度を測定した. 濃度測定は, E.coli NIHJを検定菌とするbioassayとともに, 尿については高速液体クロマトグラフィーによる本剤とそのtautomerの分離定量も行った. 腎機能の指標としては, 24時間内因性クレアチニン・クリアランス (Ccr) を用い, 薬動力学的解析はtwo compartmentopen modelにしたがった。本剤投与直後の血清中濃度は, 腎機能障害程度と関係なくほぼ一定で...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 30; no. Supplement1; pp. 196 - 207 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1982
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.30.Supplement1_196 |
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Summary: | 新しく開発された注射用半合成セファマイシン系抗生剤Cefotetan (CTT, YM09330) の500mgを, 種々の腎機能を有する49例に静脈内投与した際の血清中および尿中濃度を測定した. 濃度測定は, E.coli NIHJを検定菌とするbioassayとともに, 尿については高速液体クロマトグラフィーによる本剤とそのtautomerの分離定量も行った. 腎機能の指標としては, 24時間内因性クレアチニン・クリアランス (Ccr) を用い, 薬動力学的解析はtwo compartmentopen modelにしたがった。本剤投与直後の血清中濃度は, 腎機能障害程度と関係なくほぼ一定であった。しかしβ-phaseでは, 腎機能の低下に伴い遷延化する傾向がみられ, 消失速度定数 (t1/2およびβ) とCcrとの間に有意の直線関係が認められた。また腎機能正常例の血清中濃度半減期 (t1/2β) は平均3.0時間で, 腎機能の低下に伴い延長したか, その延長の程度は従来の同系抗生剤に比し軽度であり, 血液透析例におけるt1/2βは平均13.1時間と計算された. また5時間の血液透析によりt1/2βの約40%の短縮が認められた. 腎機能正常例における本剤の投与後24時間までの尿中回収率は平均83.3%で, 腎機能の低下に伴い減少した。なお本剤の尿中tautomerの存在比率は4~10%の範囲内でばらつき, 排泄量に関係なく尿中 Cefotetanの大部分は変化せす, ごく一部がtautomerに変化するものと考スられた。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.30.Supplement1_196 |