新しい経口cephem系抗生物質Cefixime (CFIX) の尿路感染症に対する基礎と臨床的検討

新しい経口cephem系抗生物質Cefixime (CFIX) について以下の知見を得た。 1. In vitro感受性 臨床分離株E.coli 34株とK.pneumoniae 11株のMICを測定した。CFIXの感受性分布はE.coliで≦0.025~0.78μg/mlで, ピークが0.20μg/mlであった。K.pneumoniaeでは≦0.025~0.78μg/mlに分布し, ピークは0.05μg/mlといずれも強い抗菌活性を示した。本剤は対照薬のCCLより3~4管, CEXより5~7管抗菌力が優った。 2. ヒト前立腺液 (PF) への移行 測定方法により差がみられた。200~400...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 33; no. Supplement6; pp. 606 - 637
Main Authors 鈴木, 恵三, 玉井, 秀亀, 名出, 頼男, 藤田, 民夫, 小川, 忠, 柳岡, 正範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1985
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Summary:新しい経口cephem系抗生物質Cefixime (CFIX) について以下の知見を得た。 1. In vitro感受性 臨床分離株E.coli 34株とK.pneumoniae 11株のMICを測定した。CFIXの感受性分布はE.coliで≦0.025~0.78μg/mlで, ピークが0.20μg/mlであった。K.pneumoniaeでは≦0.025~0.78μg/mlに分布し, ピークは0.05μg/mlといずれも強い抗菌活性を示した。本剤は対照薬のCCLより3~4管, CEXより5~7管抗菌力が優った。 2. ヒト前立腺液 (PF) への移行 測定方法により差がみられた。200~400mg投与1~3時間後でbioassay法のうちE.coli ATCC 39188を検定菌とした場合には0.31~0.83μg/ml (n=10), P.retlgeri No.69を検定菌とした場合には≦0.01μg/ml (n=4) であった。HPLC法ではく0.5μg/ml (n=5) またはく0.25μg/ml (n=5) で測定限界以下であった。 3. 臨床成績 64例の尿路感染症 (UTI) と1例の細菌性前立腺炎の計65例を治療対象とした。1日投与量は, 急性単純性膀胱炎 (AUC) では主として50mgカプセルを2回投与したが, 慢性複雑性膀胱炎 (CCC) や, その他の多くは100mgカプセルを1日2回投与した。主治医による総合効果判定では65例中著効46例, 有効11例, やや有効1例, 無効7例で有効率88%であった。UTI薬効評価基準ではAUC 11例中11例100%, 急性単純性腎盂腎炎3例中3例に有効であった。慢性複雑性UTIの同基準による総合臨床成績は, 31例中22例71%の有効率であった。特に腎盂腎炎で優れた成績を得た。 4. 安全性 自覚的副作用として軽度の消化器障害3例と中等度のもの1例をみた。アレルギー症状として発熱1例, 掻痒感1例を認めた (発現症例数5例7.7%)。このうち投与中止例は1例のみであった。いずれも服薬終了または中止後1~2日で正常に復した。臨床検査値の異常は白血球減少, 血小板減少が各1例に認められたが, 投与終了後正常に復した。 5.まとめ CFIXは既存のcephem剤に比べて, 抗菌活性が強く血中半減期が長いので臨床的に投与量・投与回数が少なくてすみ, 効果は単純性, 複雑性UTIに対してともに優れた成績を得た。安全性も既存の同系剤と比べて差異がないものと思われ, 総体的にCFIXはUTIの治療上有用性の高い薬剤であると評価出来た。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.33.Supplement6_606