腹腔鏡補助下手術にて診断・治療した子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例

子宮広間膜裂孔ヘルニアは非常に稀な疾患であるが,今回われわれは腹腔鏡補助下に診断・治療した1例を経験したので報告する.症例は46歳,女性. 21歳時に帝王切開の既往がある.腹痛,嘔気を認め来院し,イレウスと診断され入院となった.保存的治療を行い症状の改善を認めたが,イレウス管造影にて左側骨盤内に小腸の高度狭窄所見を認めたため,原因疾患の診断も兼ねて手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると,左側の子宮広間膜欠損部に小腸が嵌入しており,内ヘルニアと診断した.嵌入腸管を引き出しイレウスを解除した後,小開腹創から直視下に観察したところ,小腸の狭窄所見を認めたため腸管切除を施行した.裂孔部を閉鎖し手術を終了...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 12; pp. 3199 - 3202
Main Authors 板橋, 哲也, 旭, 博史, 秋山, 有史, 大塚, 幸喜, 樋口, 太郎, 斎藤, 和好
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.12.2003
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.3199

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Summary:子宮広間膜裂孔ヘルニアは非常に稀な疾患であるが,今回われわれは腹腔鏡補助下に診断・治療した1例を経験したので報告する.症例は46歳,女性. 21歳時に帝王切開の既往がある.腹痛,嘔気を認め来院し,イレウスと診断され入院となった.保存的治療を行い症状の改善を認めたが,イレウス管造影にて左側骨盤内に小腸の高度狭窄所見を認めたため,原因疾患の診断も兼ねて手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると,左側の子宮広間膜欠損部に小腸が嵌入しており,内ヘルニアと診断した.嵌入腸管を引き出しイレウスを解除した後,小開腹創から直視下に観察したところ,小腸の狭窄所見を認めたため腸管切除を施行した.裂孔部を閉鎖し手術を終了した.術前診断が困難な本疾患に於いて,腹腔鏡補助下手術は原因検索のみならず,低侵襲性で再癒着防止の観点からも有用な術式であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.3199