十二指腸内腔・胆管内に乳頭状発育を示した十二指腸乳頭部癌の1例
症例は65歳,男性, 3カ月間続く全身倦怠感と体重減少を主訴に来院,診察で臍右側に鶏卵大腫瘤を触知した.血液検査では胆道系酵素の上昇があり,腹部造影CT検査で下部胆管から十二指腸内腔にかけて連続する腫瘤像を認めた.十二指腸内の腫瘤の生検から高度異型性を示す腺腫が検出されたため,下部胆管癌,十二指腸乳頭部癌を強く疑い,根治目的の膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本では,十二指腸乳頭から胆管内に進展する腫瘤と十二指腸内に乳頭状に隆起する腫瘤が連続する,特異な発育形態を示す十二指腸乳頭部癌が確認された.また病理組織学的に腫瘍は高度異型を伴った腺腫成分を背景に部分的に高分化型腺癌の像がみられ,腺腫発...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 12; pp. 2962 - 2966 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.12.2005
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.66.2962 |
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Summary: | 症例は65歳,男性, 3カ月間続く全身倦怠感と体重減少を主訴に来院,診察で臍右側に鶏卵大腫瘤を触知した.血液検査では胆道系酵素の上昇があり,腹部造影CT検査で下部胆管から十二指腸内腔にかけて連続する腫瘤像を認めた.十二指腸内の腫瘤の生検から高度異型性を示す腺腫が検出されたため,下部胆管癌,十二指腸乳頭部癌を強く疑い,根治目的の膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本では,十二指腸乳頭から胆管内に進展する腫瘤と十二指腸内に乳頭状に隆起する腫瘤が連続する,特異な発育形態を示す十二指腸乳頭部癌が確認された.また病理組織学的に腫瘍は高度異型を伴った腺腫成分を背景に部分的に高分化型腺癌の像がみられ,腺腫発生の癌である可能性が考えられた. 十二指腸内腔と胆管内の両方向に乳頭状発育を示した稀な形態の十二指腸乳頭部癌の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.66.2962 |