耳鼻咽喉科領域におけるSY5555の基礎的・臨床的検討
新しい経口ペネム系抗生剤であるSY5555の耳鼻咽喉科領域における基礎的, 臨床的検討を試みた。基礎的検討としては手術施行症例を対象とした耳鼻咽喉科領域の組織移行率を検討した。単回投与内服45分~3時間40分後の一血中への移行は200mg投与で平均0.58μg/ml, 300mg投与で平均1.14μg/mlであり, 同時に採取した耳鼻咽喉科領域の各種組織 (中耳粘膜22例, 上顎洞粘膜22例, 上顎洞内貯留液5例, 扁桃9例) への移行は200mg投与で平均0.21μg/g, 300mg投与で平均0.26μg/gであり, その移行率は200mgで36.2%, 300mgで22.8%であった。...
Saved in:
Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 42; no. Supplement1; pp. 580 - 595 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1994
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.42.Supplement1_580 |
Cover
Summary: | 新しい経口ペネム系抗生剤であるSY5555の耳鼻咽喉科領域における基礎的, 臨床的検討を試みた。基礎的検討としては手術施行症例を対象とした耳鼻咽喉科領域の組織移行率を検討した。単回投与内服45分~3時間40分後の一血中への移行は200mg投与で平均0.58μg/ml, 300mg投与で平均1.14μg/mlであり, 同時に採取した耳鼻咽喉科領域の各種組織 (中耳粘膜22例, 上顎洞粘膜22例, 上顎洞内貯留液5例, 扁桃9例) への移行は200mg投与で平均0.21μg/g, 300mg投与で平均0.26μg/gであり, その移行率は200mgで36.2%, 300mgで22.8%であった。 臨床成績では, 急性中耳炎11例, 慢性中耳炎の急性増悪20例, 慢性中耳炎2例, 急性外耳炎10例, 急性副鼻腔炎9例, 慢性副鼻腔炎の急性増悪3例, 急1生扁桃炎10例, 慢性扁桃炎の急性増悪1例, 急性咽喉頭炎4例, 急性化膿性耳下腺炎2例, その他2例の計74例に本剤150~300mgを1日3回経口投与し, 74例中著効, 有効併せて53例 (71.6%) という良好な成績を収めた。 細菌学的消菌率でみると, Staphylococcus aureusを中心としたグラム陽性菌で78.9%, グラム陰性菌で66.7%, 嫌気性菌では6/6の消失率が得られた。 副作用は3例で下痢, 1例で発疹, また1例でふらつきの計5例に見られた。下痢の3例は軽度で投与継続可能であったが他の2例では投薬を中止した。本剤投与による臨床検査値異常は2例に認められた。1例で白血球分画のうち好塩基球, 好中球, リンパ球に異常変動が見られ, 1例で好酸球数増多が見られた。 以上の成績からSY5555は耳鼻咽喉科領域の感染症に対し, 有用性の高い薬剤であると考えられた。 |
---|---|
ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.42.Supplement1_580 |