Furfural長期経口投与によるラット実験肝硬変症生成過程の経時的観察

有機溶媒furfuralを飼料に混じラットに連続経口投与し,肝硬変類似病変の生成する過程を30~150日にわたり経時的に観察,同時にBrdU-抗BrdU法による細胞動態の解析を行った.投与90日より,肝は肉眼的に尾状葉を中心とした白色顆粒状外観を呈した.光顕的には投与60日より門脈域の線維性拡大とその近傍でのpericellular fibrosisが出現し,投与期間の増大に伴いbridging fibrosisを経て偽小葉形成に至る,連続的かつ進行性の過程が観察された.BrdU免疫染色ではfurfural投与動物において,投与期間に関わらず標識率は2~4%と無処置群に比して高値である,肝/体...

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Published in肝臓 Vol. 29; no. 11; pp. 1476 - 1482
Main Authors 清水, 昭男, 原田, 昌興, 井上, 達, 蟹沢, 成好
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1988
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Summary:有機溶媒furfuralを飼料に混じラットに連続経口投与し,肝硬変類似病変の生成する過程を30~150日にわたり経時的に観察,同時にBrdU-抗BrdU法による細胞動態の解析を行った.投与90日より,肝は肉眼的に尾状葉を中心とした白色顆粒状外観を呈した.光顕的には投与60日より門脈域の線維性拡大とその近傍でのpericellular fibrosisが出現し,投与期間の増大に伴いbridging fibrosisを経て偽小葉形成に至る,連続的かつ進行性の過程が観察された.BrdU免疫染色ではfurfural投与動物において,投与期間に関わらず標識率は2~4%と無処置群に比して高値である,肝/体重比も有意に大であったことから,この実験肝硬変の生成過程には単なる肝の線維化にとどまらない,肝実質細胞の増生を伴うことが明らかになった.以上よりfurfuralによる実験肝硬変症はヒト乙型肝硬変症の実験モデルとして有用であるものと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.29.1476