Fleroxacinにおける髄液移行と臨床的検討

新しい合成抗菌剤であるfleroxacinを用いて, その髄液移行と泌尿器科領域感染症に対する臨床成績について検討を行った。 髄液移行は, fleroxacin 200mgを12~15時間の絶食後経口投与し, 4時間後に血液および髄液を採取し, 濃度測定をHPLC法にて行った。髄液中濃度は0.22~1.26μg/mlで, 髄液中濃度/血清中濃度比は0.10~0.51であった。 臨床的検討においては, 対象は急性単純性膀胱炎 (AUC) 15例, 急性単純性腎盂腎炎 (AUP) 2例, 慢性複雑性膀胱炎 (CCC) 5例および慢性複雑性腎盂腎炎 (CCP) 2例である。臨床的効果は, 主治医判定...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 38; no. Supplement2; pp. 493 - 499
Main Authors 宮北, 英司, 稲土, 博右, 星野, 英章, 河村, 信夫, 岡田, 敬司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1990
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Summary:新しい合成抗菌剤であるfleroxacinを用いて, その髄液移行と泌尿器科領域感染症に対する臨床成績について検討を行った。 髄液移行は, fleroxacin 200mgを12~15時間の絶食後経口投与し, 4時間後に血液および髄液を採取し, 濃度測定をHPLC法にて行った。髄液中濃度は0.22~1.26μg/mlで, 髄液中濃度/血清中濃度比は0.10~0.51であった。 臨床的検討においては, 対象は急性単純性膀胱炎 (AUC) 15例, 急性単純性腎盂腎炎 (AUP) 2例, 慢性複雑性膀胱炎 (CCC) 5例および慢性複雑性腎盂腎炎 (CCP) 2例である。臨床的効果は, 主治医判定ではAUCで著効9例, 有効6例, AUPで著効2例, CCCで著効1例, 有効2例, 無効2例, CCPで有効1例, 無効1例であった。UTI薬効評価基準による判定では, AUCで著効9例, 有効3例, AUPで著効1例CCCで著効1例, 有効2例, 無効1例'CCPで有効1例であった。UTI薬効評価基準合致症例での細菌学的効果は, 陰性化13例, 菌交代4例, 不変1例であり, 陰性化率は72%であった。菌種としてはEscherichia coli 12株, Pseudomonas aeruginosa 2株, そのほかStaphylococcus aureus, B群β-Streptococcus, α-Streptococcus, Enterococcus sp., Corynebacterium sp., Klebsiella pneumoniae, Klebsiella oxytoca, Proteus mirabilis, Serratia marcescensがそれぞれ1株ずつ検出された。このうちS.aureus, Enterococcus sp., S.marcescensの3株が存続したが, そのほかはすべて消失し87%の消失率であった。自他覚的副作用は口渇が1例認められ, 内服中止により軽快した。臨床検査は4例において行われ, すべて異常を認めなかった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.38.Supplement2_493