大腸癌と他臓器重複癌の臨床病理学的検討
近年,各種癌における重複癌の頻度が増加している.その中で,大腸重複癌の特徴として大腸癌発症数の増加やHNPCC,大腸多発癌,女性ホルモン,放射線との関係などが明らかにされている.当科の1978年1月より2001年12月までの初発大腸癌572例中,他臓器重複癌は60例(10.4%)であった.家族歴で3親等以内に癌を有する症例は重複癌症例で高率であった.同時性28例,異時性28例,同時/異時性4例.異時性重複癌を認めた32例では,大腸癌手術の前後10年間に27例(84.3%)が他臓器癌を合併していた.臓器別頻度では胃癌が14例(21.5%)と最も多く,女性では乳癌,子宮癌が高率であった. 5年生存...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 11; pp. 2677 - 2681 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.11.2003
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.64.2677 |
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Summary: | 近年,各種癌における重複癌の頻度が増加している.その中で,大腸重複癌の特徴として大腸癌発症数の増加やHNPCC,大腸多発癌,女性ホルモン,放射線との関係などが明らかにされている.当科の1978年1月より2001年12月までの初発大腸癌572例中,他臓器重複癌は60例(10.4%)であった.家族歴で3親等以内に癌を有する症例は重複癌症例で高率であった.同時性28例,異時性28例,同時/異時性4例.異時性重複癌を認めた32例では,大腸癌手術の前後10年間に27例(84.3%)が他臓器癌を合併していた.臓器別頻度では胃癌が14例(21.5%)と最も多く,女性では乳癌,子宮癌が高率であった. 5年生存率は重複癌症例69%,非重複癌症例64%と有意差を認めなかった.重複癌症例の治療では,個々の癌の根治性を考慮した積極的な治療により非重複癌症例と同程度の予後が期待できると思われた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.64.2677 |