爪楊枝誤飲による大腸穿孔の1例

爪楊枝誤飲による消化管穿孔は稀で,患者が誤飲を自覚していないことが多く,爪楊枝がX線透過性であることから術前診断は困難とされる.今回われわれは術前診断が可能であった手術症例を経験した.患者は59歳の女性,右下腹部痛を主訴に来院した. 3日前に爪楊枝を誤飲したとの自覚があった.右下腹部に圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった.血液検査では軽度の炎症所見を認めるのみであった.入院時の単純X線,上部消化管内視鏡, USおよびCTでは異物を認めず,消化管穿孔の所見も明らかでなかったため,自然排泄を期待して保存療法を行った.しかし,入院6日目に再施行したUSにて爪楊枝と思われる線状の高エコー像を,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 11; pp. 2794 - 2797
Main Authors 只腰, 雅夫, 水野, 豊, 安藤, 修久, 安藤, 秀行, 大池, 恵広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2003
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.2794

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Summary:爪楊枝誤飲による消化管穿孔は稀で,患者が誤飲を自覚していないことが多く,爪楊枝がX線透過性であることから術前診断は困難とされる.今回われわれは術前診断が可能であった手術症例を経験した.患者は59歳の女性,右下腹部痛を主訴に来院した. 3日前に爪楊枝を誤飲したとの自覚があった.右下腹部に圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった.血液検査では軽度の炎症所見を認めるのみであった.入院時の単純X線,上部消化管内視鏡, USおよびCTでは異物を認めず,消化管穿孔の所見も明らかでなかったため,自然排泄を期待して保存療法を行った.しかし,入院6日目に再施行したUSにて爪楊枝と思われる線状の高エコー像を, CT上でも爪楊枝様の陰影を認めた.緊急手術が施行され,上行結腸から穿孔する爪楊枝を確認した.本邦では爪楊枝による消化管穿孔はこれまでに14例の報告を認めるのみである.これに自験例を加えて臨床的考察を加えた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.2794