Levofloxacin (DR-3355) およびOfloxacinのヒトにおける血中動態並びに腎排泄挙動の比較

光学異性体の複合体であるofloxacin (OFLX) の抗菌活性本体は, そのl-体のlevofloxacin (LVFX, DR-3355) であることが知られている。しかし, 光学異性体間の体内動態の相違については予測が困難であるため, 実測により明らかにする必要がある。そこで, LVFXの体内動態, 特に腎排泄挙動の詳細を明らかにするため, 健康成人男子を対象とした試験を実施した。 7名の被験者に対し, LVFX 100mg, OFLX 200mg, LVFX 100mg+OFLX 200mgの順に3回の経口投与試験を行い, 投与後735分まで採血・採尿を繰り返した。l-体であるLV...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inCHEMOTHERAPY Vol. 40; no. Supplement3; pp. 196 - 202
Main Authors 山下, 真寿男, 高木, 伸介, 荒川, 創一, 神谷, 晃, 守殿, 貞夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1992
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.40.Supplement3_196

Cover

More Information
Summary:光学異性体の複合体であるofloxacin (OFLX) の抗菌活性本体は, そのl-体のlevofloxacin (LVFX, DR-3355) であることが知られている。しかし, 光学異性体間の体内動態の相違については予測が困難であるため, 実測により明らかにする必要がある。そこで, LVFXの体内動態, 特に腎排泄挙動の詳細を明らかにするため, 健康成人男子を対象とした試験を実施した。 7名の被験者に対し, LVFX 100mg, OFLX 200mg, LVFX 100mg+OFLX 200mgの順に3回の経口投与試験を行い, 投与後735分まで採血・採尿を繰り返した。l-体であるLVFX単独投与時には, 血中・尿中共にd-体は検出されず, d-, l-体の1:1の複合体であるOFLX単独投与時には, 血中・尿中共にd-体とl-体が同量検出され, LVFXとOFLX同時投与では, 血中・尿中共にl-体がd-体の2倍検出された。従って, 体内での光学異性体間の相互変換, 即ち, d-体=l-体の変換は無視し得るものと推察された。体内動態については, 血中薬物動態, 尿中薬物排泄速度, 尿中薬物排泄量のいずれにおいてもd-体とl-体での差は認められなかった。また, 腎排泄挙動を, 糸球体ろ過, 尿細管分泌, 尿細管再吸収の3方向の輸送に分離した定量的解析の結果もd-体とl-体での差は認められず, その挙動はOFLXでの報告値とほぼ一致した。 従って, OFLXのl-体のみを含有するLVFXの腎挙動は, OFLXと同様であり, その排泄には尿細管分泌が大きく関与していることが明らかとなった。また, LVFXの体内動態全般もOFLXとほぼ同様であり, 疾患時の投与法については, OFLXでの知見を参照することが可能であると考えられた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.40.Supplement3_196