虫垂原発印環細胞癌の2例

原発性虫垂癌は稀な疾患で,特に印環細胞癌の報告は少ない.われわれは虫垂炎の診断で手術を施行し,術後に印環細胞癌と診断された2例を経験したので報告する.症例1は73歳の男性.右下腹部痛を主訴に来院し,急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を施行した.術後の病理組織検査にて印環細胞癌の診断となり,回盲部切除術, D2郭清を追加施行した.術中腹膜播種およびリンパ節転移は認めなかった.術後5年経過した現在再発を認めていない.症例2は72歳の男性.穿孔性急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を施行した.術後の病理組織検査にて印環細胞癌の診断となった.追加手術を施行せず,厳重な経過観察を施行中であるが,術後1年半経過した現在...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 11; pp. 2958 - 2962
Main Authors 岩谷, 岳, 肥田, 圭介, 青木, 毅一, 秋山, 有史, 斎藤, 和好, 木村, 祐輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2958

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Summary:原発性虫垂癌は稀な疾患で,特に印環細胞癌の報告は少ない.われわれは虫垂炎の診断で手術を施行し,術後に印環細胞癌と診断された2例を経験したので報告する.症例1は73歳の男性.右下腹部痛を主訴に来院し,急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を施行した.術後の病理組織検査にて印環細胞癌の診断となり,回盲部切除術, D2郭清を追加施行した.術中腹膜播種およびリンパ節転移は認めなかった.術後5年経過した現在再発を認めていない.症例2は72歳の男性.穿孔性急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を施行した.術後の病理組織検査にて印環細胞癌の診断となった.追加手術を施行せず,厳重な経過観察を施行中であるが,術後1年半経過した現在再発を認めず生存中である.虫垂炎の手術では虫垂癌である可能性も念頭におき,術中の十分な観察と術後病理検査が重要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2958