特発性上腰ヘルニアの1例

腰部には腰三角という解剖学的抵抗減弱部が存在するが,この部位にヘルニアが発生することは稀である.今回,特発性に発症した,左上腰ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は82歳女性で,左腰部膨隆を主訴として受診した. CT検査にて左腰部皮下脂肪織内に突出するヘルニア嚢内に下行結腸の脱出を認め,腰ヘルニアと診断した.手術所見で第12肋骨,内腹斜筋後縁,仙棘筋に囲まれた上腰三角にヘルニア門があり, PROLENE meshを用いて補強し,閉鎖した.本法は簡便かつ短時間に施行でき,高齢患者や合併症を持つ患者にも安全に行える術式と考えられた....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 12; pp. 3076 - 3080
Main Authors 三浦, 勝, 金村, 栄秀, 小尾, 芳郎, 山中, 研, 阿部, 哲夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.12.2002
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Summary:腰部には腰三角という解剖学的抵抗減弱部が存在するが,この部位にヘルニアが発生することは稀である.今回,特発性に発症した,左上腰ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は82歳女性で,左腰部膨隆を主訴として受診した. CT検査にて左腰部皮下脂肪織内に突出するヘルニア嚢内に下行結腸の脱出を認め,腰ヘルニアと診断した.手術所見で第12肋骨,内腹斜筋後縁,仙棘筋に囲まれた上腰三角にヘルニア門があり, PROLENE meshを用いて補強し,閉鎖した.本法は簡便かつ短時間に施行でき,高齢患者や合併症を持つ患者にも安全に行える術式と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.3076