口腔外科領域におけるT-1982の基礎的臨床的研究

新しいセファマイシン系抗生物質であるT-1982の口腔外科領域における有用性を検討する目的で抗菌力, 血中濃度, 口腔組織移行性および臨床治験を行ない, 次の結果を得た。 口腔領域感染患者より分離された196株に対するMICでは, P.aerugimsaを除くグラム陰性桿菌に良好な感受性を示した。 口腔手術症例を用いてのT-1982の血中および口腔組織への移行性は, 本剤1.09を1時間点滴静注し, 経時的に採取した血清と口腔組織を材料に測定した。血中濃度は点滴終了時77.6μg/mlでピークを示し, 以後漸減, 8時間後には3.1μg/mlとなった。血中半減期は103.9分であった。同様に口...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 30; no. Supplement3; pp. 969 - 980
Main Authors 森鼻, 健史, 田口, 雅史, 難波, 良司, 南, 良尚, 伝, 春光, 山本, 剛義, 植田, 和雅, 津島, 哲也, 永田, 研一, 中尾, 薫, 島田, 桂吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1982
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Summary:新しいセファマイシン系抗生物質であるT-1982の口腔外科領域における有用性を検討する目的で抗菌力, 血中濃度, 口腔組織移行性および臨床治験を行ない, 次の結果を得た。 口腔領域感染患者より分離された196株に対するMICでは, P.aerugimsaを除くグラム陰性桿菌に良好な感受性を示した。 口腔手術症例を用いてのT-1982の血中および口腔組織への移行性は, 本剤1.09を1時間点滴静注し, 経時的に採取した血清と口腔組織を材料に測定した。血中濃度は点滴終了時77.6μg/mlでピークを示し, 以後漸減, 8時間後には3.1μg/mlとなった。血中半減期は103.9分であった。同様に口腔組織においても良好な移行がみられ, 歯肉では60分値22.3μg/g, 対血清比51.6%, 90分値17.75μg/g, 74.3%, 顎骨では30分値4.38μg/g, 17.2%, 60分値594μg/g, 12.1%, 90分値3.16μg/g, 15.5%を示した。 また, 口腔領域感染症24例に本剤を使用し, 著効4, 有効14, 無効6, 有効率75%であった。 全例に本剤に基づくと思われる副作用は認められなかった。 以上の結果より, T-1982は口腔感染症治療薬として安全性の高い優れた抗生剤であることが判明した。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.30.Supplement3_969