Cephem系経口抗生物質7432-Sのイヌおよびウサギでの腎排泄機序
雌性ビーグル犬4頭および雄性ウサギ4羽を用い7432-Sの腎排泄についてstop-flow法によって検討した。イヌでは, 7432-Sの腎クリアランスはクレアチニンクリアランスの全養度で0.58倍, 非結合濃度で0.87倍であった。Stop-flow analysisでは尿細管からの分泌は認められず, むしろ近位尿細管で弱い再吸収のあることが示唆された。7432-Sのイヌでの血漿蛋白結合率は34±2%(mean±SE n=4) と低く, したがって7432-Sはイヌでは主として糸球体滋過により尿中に排泄されると思われる。ウサギでは7432-Sの腎クリアランスはクレアチニンクリアランスの2.3倍...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 37; no. Supplement1; pp. 796 - 803 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1989
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.37.Supplement1_796 |
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Summary: | 雌性ビーグル犬4頭および雄性ウサギ4羽を用い7432-Sの腎排泄についてstop-flow法によって検討した。イヌでは, 7432-Sの腎クリアランスはクレアチニンクリアランスの全養度で0.58倍, 非結合濃度で0.87倍であった。Stop-flow analysisでは尿細管からの分泌は認められず, むしろ近位尿細管で弱い再吸収のあることが示唆された。7432-Sのイヌでの血漿蛋白結合率は34±2%(mean±SE n=4) と低く, したがって7432-Sはイヌでは主として糸球体滋過により尿中に排泄されると思われる。ウサギでは7432-Sの腎クリアランスはクレアチニンクリアランスの2.3倍の高値を示し, それはP-アミノ馬尿酸 (PAH) クリアランスの64%に相当した。プロベネシド投与 (30mg/kg, 静注) により7432-Sクリアランスは, クレアチニンクリアランスの0.95倍にまで低下した。Stop-flow analysisでは近位尿細管部位に, PAHに匹敵する高いピークを認め, またプロベネシド投与により同ピークは消失した。ウサギでの7432-Sの血漿蛋白結合率は31±3%(n=4) であった。これらの成績は7432-Sカざウサギでは主として近位尿細管からの分泌により尿中に排泄されることを示している。すなわち7432-Sの腎排泄はイヌでは糸球体濾過と僅かな近位尿細管での再吸収, ウサギでは尿細管分泌によって行なわれることが示された。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.37.Supplement1_796 |