術中腹腔鏡にて観察した白線ヘルニアの3例

【症例1】45歳,女性.臍上部に小豆大の柔らかい腫瘤を触知した.ヘルニア内容は腹膜前脂肪であった.【症例2】52歳,男性.臍上部に2cm大の柔らかい腫瘤を触知した.ヘルニア内容は腹膜前脂肪であった.【症例3】32歳,男性.臍上部に4cm大の柔らかい腫瘤を触知した.ヘルニア内容は腹膜前脂肪と大網の嵌頓であった.手術としては,腹腔鏡にて腹腔側より観察したのち,ヘルニア門を閉鎖してメッシュを用いて白線部を補強した.白線ヘルニアの成因としては,従来より白線部を貫く血管や神経の間隙からの発生が考えられていたが,最近では否定的な報告が多い.しかし,症例1, 2の腹腔鏡所見でヘルニア部を貫く血管が確認された...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 11; pp. 2804 - 2808
Main Authors 村田, 陽子, 衣笠, 陽一, 角, 賢一, 岡, 淳夫, 浜副, 隆一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2001
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2804

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Summary:【症例1】45歳,女性.臍上部に小豆大の柔らかい腫瘤を触知した.ヘルニア内容は腹膜前脂肪であった.【症例2】52歳,男性.臍上部に2cm大の柔らかい腫瘤を触知した.ヘルニア内容は腹膜前脂肪であった.【症例3】32歳,男性.臍上部に4cm大の柔らかい腫瘤を触知した.ヘルニア内容は腹膜前脂肪と大網の嵌頓であった.手術としては,腹腔鏡にて腹腔側より観察したのち,ヘルニア門を閉鎖してメッシュを用いて白線部を補強した.白線ヘルニアの成因としては,従来より白線部を貫く血管や神経の間隙からの発生が考えられていたが,最近では否定的な報告が多い.しかし,症例1, 2の腹腔鏡所見でヘルニア部を貫く血管が確認されたため,これが成因の一つであろうと考えられた.本症は多発傾向があることと,ヘルニア門の単純閉鎖だけでは再発率が高いことより,メッシュを用いて白線部を広範に補強することは有用であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2804