急性肝不全の経過の前後で肝組織像を観察し得た成人T細胞白血病の1剖検例
急性肝不全で死亡した成人T細胞白血病(ATL)の発症早期および死亡時に肝組織像を観察し得た1例を報告する.症例は53歳男性.慢性ATLの診断で経過観察されていたが肝機能異常は認められていない.入院約10日前より全身倦怠感,皮疹,皮膚の黄染が出現.入院時肝は腫大し,血清総ビリルビン(TB)値10.6mg/dl, GOT 4,167IU/lと高度の肝機能障害を認めた.末梢白血球数は18,900/mm3で,うち75%がATL細胞であった.肝生検で,門脈域を中心にATL細胞を含む単核球の著明な浸潤が認められた.G-I療法,インターフェロン,mPSL大量療法,血漿交換等の治療に抵抗してTB値は50.3m...
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Published in | 肝臓 Vol. 32; no. 12; pp. 1156 - 1162 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
1991
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Subjects | |
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Summary: | 急性肝不全で死亡した成人T細胞白血病(ATL)の発症早期および死亡時に肝組織像を観察し得た1例を報告する.症例は53歳男性.慢性ATLの診断で経過観察されていたが肝機能異常は認められていない.入院約10日前より全身倦怠感,皮疹,皮膚の黄染が出現.入院時肝は腫大し,血清総ビリルビン(TB)値10.6mg/dl, GOT 4,167IU/lと高度の肝機能障害を認めた.末梢白血球数は18,900/mm3で,うち75%がATL細胞であった.肝生検で,門脈域を中心にATL細胞を含む単核球の著明な浸潤が認められた.G-I療法,インターフェロン,mPSL大量療法,血漿交換等の治療に抵抗してTB値は50.3mg/dlと著増,PT活性値は32%まで低下し入院20日目に死亡した.剖検肝は黄色調で910gと萎縮し,組織上は広範な肝細胞壊死と出血が認められ,臓器Schwartzman反応の関与が考えられた.報告されている急性肝不全を呈したATL症例6例をまとめ,肝障害の機序について考察した. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.32.1156 |