術後急速に再発した食道小細胞癌の1例

症例は66歳の男性.タール便,上腹部痛を主訴に内科受診し,精査の結果,胸部中下部食道の低分化癌と,胃体中部の早期低分化腺癌の二重癌と診断された.術前化学療法として, 5-FUと低用量CDDPを2週間施行したがNCと判定,続いて食道・胃亜全摘・結腸再建術を施行した.病理組織所見では,食道は小細胞癌, pT2N0,胃は中分化型腺癌, SM, N0であった.術後縫合不全を認めたが保存的に軽快し,第48病日に退院した.術後さらに同様の化学療法を行ったが,縦隔リンパ節の急激な再発腫張に伴い,呼吸困難・肺炎を生じたため,再入院し,カルボプラチン・エトポシドによる化学療法を追加するも,全身状態悪化し,術後約...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 10; pp. 2423 - 2427
Main Authors 竹下, 洋基, 松崎, 正明, 神谷, 勲, 赤座, 薫, 禰宜田, 政隆, 徳永, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2002
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Summary:症例は66歳の男性.タール便,上腹部痛を主訴に内科受診し,精査の結果,胸部中下部食道の低分化癌と,胃体中部の早期低分化腺癌の二重癌と診断された.術前化学療法として, 5-FUと低用量CDDPを2週間施行したがNCと判定,続いて食道・胃亜全摘・結腸再建術を施行した.病理組織所見では,食道は小細胞癌, pT2N0,胃は中分化型腺癌, SM, N0であった.術後縫合不全を認めたが保存的に軽快し,第48病日に退院した.術後さらに同様の化学療法を行ったが,縦隔リンパ節の急激な再発腫張に伴い,呼吸困難・肺炎を生じたため,再入院し,カルボプラチン・エトポシドによる化学療法を追加するも,全身状態悪化し,術後約6カ月で死亡した.食道原発の小細胞癌は,頻度としてはかなり稀であるが,その予後は不良とされ,定型的な治療法はいまだ確立していない.種々の治療法を組み合わせた集学的治療の発展が期待される.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.2423