胆管内発育し胆道出血をきたした肝細胞癌の1例

症例は48歳の男性. HBs抗原陽性でAFPが高値を示し,左肝管内に3cm大の腫瘍が存在,左肝内胆管の拡張を認めた.精査にて胆管内発育型の肝細胞癌ないし胆管癌が考えられた.手術を予定していたが,急性腹症を発症,経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を行うと血性胆汁で,胆管内腫瘍の出血と判断した.後日,肝左葉切除,胆管切除を施行した. S2に2 cm大の腫瘍を認め,これより胆管内に浸潤.乳頭状に発育した5 cmの腫瘍が左肝管を閉塞していた.病理は肝細胞癌であった.本症例は肝細胞癌が胆管浸潤,胆管内発育し,腫瘍壊死により胆道出血をきたしたと考えられる.肝細胞癌の胆管への浸潤・発育あるいは胆道出血はい...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 10; pp. 2732 - 2736
Main Authors 永橋, 昌幸, 河内, 保之, 牧野, 成人, 西村, 淳, 新国, 恵也, 清水, 武昭
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.10.2004
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Summary:症例は48歳の男性. HBs抗原陽性でAFPが高値を示し,左肝管内に3cm大の腫瘍が存在,左肝内胆管の拡張を認めた.精査にて胆管内発育型の肝細胞癌ないし胆管癌が考えられた.手術を予定していたが,急性腹症を発症,経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を行うと血性胆汁で,胆管内腫瘍の出血と判断した.後日,肝左葉切除,胆管切除を施行した. S2に2 cm大の腫瘍を認め,これより胆管内に浸潤.乳頭状に発育した5 cmの腫瘍が左肝管を閉塞していた.病理は肝細胞癌であった.本症例は肝細胞癌が胆管浸潤,胆管内発育し,腫瘍壊死により胆道出血をきたしたと考えられる.肝細胞癌の胆管への浸潤・発育あるいは胆道出血はいずれも比較的稀であり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2732