石灰乳胆汁の1例

石灰乳胆汁を伴った胆石,総胆管結石症を経験した.症例は61歳男性.右季肋部痛にて当科受診,腹部CTおよび超音波検査で胆嚢および総胆管内に結石を認めた.また腹部単純X線写真にて右季肋部に臥位では円形の,立位では鏡面形成のある石灰化像を認め,胆嚢内の石灰乳胆汁が確認された.術前にENBD tubeを挿入留置後,胆石に対しては腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行,総胆管結石は術後EPBDを行い採石した.胆嚢および総胆管結石ともにコレステロール結石であり,また胆嚢内胆汁のph8.2と胆汁のアルカリ化を認めた.胆嚢内の石灰乳胆汁は炭酸カルシウムが98%以上を占めており,摘出後まもなく固形化した.石灰乳胆汁を有する症...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 10; pp. 2506 - 2509
Main Authors 野村, 務, 恩田, 昌彦, 田尻, 孝, 有馬, 保生, 内田, 英二, 吉田, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2001
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Summary:石灰乳胆汁を伴った胆石,総胆管結石症を経験した.症例は61歳男性.右季肋部痛にて当科受診,腹部CTおよび超音波検査で胆嚢および総胆管内に結石を認めた.また腹部単純X線写真にて右季肋部に臥位では円形の,立位では鏡面形成のある石灰化像を認め,胆嚢内の石灰乳胆汁が確認された.術前にENBD tubeを挿入留置後,胆石に対しては腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行,総胆管結石は術後EPBDを行い採石した.胆嚢および総胆管結石ともにコレステロール結石であり,また胆嚢内胆汁のph8.2と胆汁のアルカリ化を認めた.胆嚢内の石灰乳胆汁は炭酸カルシウムが98%以上を占めており,摘出後まもなく固形化した.石灰乳胆汁を有する症例では,炎症や結石などによる胆嚢管の閉塞や術中操作による石灰乳胆汁の総胆管内への流入の可能性があるため,術前にENBD tubeを留置,術中造影および術後にこれを利用できるようにしておく必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2506