成人腸回転異常症7例の検討

7例の成人腸回転異常症を検討した. nonrotationタイプが5例, malrotationタイプが1例,その他のタイプが1例であった.腸回転異常固有の症状を呈したのは, nonrotationタイプの2例で中軸捻転と十二指腸狭窄であった.ともに十二指腸,上行結腸間にpedicleが形成され, 1例はこれによって生じた腸間膜短縮部を中心に軸捻転を引き起こし,他の1例はpedicleが十二指腸空腸移行部を屈曲牽引することで十二指腸狭窄を起こしていた.腸回転異常としての症状のなかった5例にはpedicle, Ladd靱帯などの異常構造物はなかったことから,症状の発現にはこれらの構造物の関与が示...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 11; pp. 2773 - 2778
Main Authors 松本, 隆, 小林, 宇季, 小澤, 修太郎, 小川, 展二, 篠塚, 望, 小山, 勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2003
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Summary:7例の成人腸回転異常症を検討した. nonrotationタイプが5例, malrotationタイプが1例,その他のタイプが1例であった.腸回転異常固有の症状を呈したのは, nonrotationタイプの2例で中軸捻転と十二指腸狭窄であった.ともに十二指腸,上行結腸間にpedicleが形成され, 1例はこれによって生じた腸間膜短縮部を中心に軸捻転を引き起こし,他の1例はpedicleが十二指腸空腸移行部を屈曲牽引することで十二指腸狭窄を起こしていた.腸回転異常としての症状のなかった5例にはpedicle, Ladd靱帯などの異常構造物はなかったことから,症状の発現にはこれらの構造物の関与が示唆され,手術も異常構造物のない症例にはLadd手術などの予防手術を行う必要はないと考えた.上部消化管閉塞を伴う症状発現症例の腹部単純レントゲン写真での診断は困難で,十二指腸狭窄では上部消化管造影が,軸捻転症例では超音波ドプラ法や腹部CTが有用と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.2773