B型肝炎ウイルスワクチンによるHBs抗体responseの長期観察と抗体産生のメモリーについて

HBワクチン接種例の長期観察と,follow-up後にHBs抗体の力価(PHA法)が23以下の例にHBワクチンのBooster injectionを施行し,そのHBs抗体responseを検討した.HBsAg, anti-HBs陰性の116例に1981年8月から82年11月の期間にHBワクチン(HBsAg 20μg)を,初回,4週,24週後に接種した.そして,84年5月,85年8月にfollow-up後の検査を施行した.HBs抗体(PHA法)陽性率は,ワクチン接種終了時の28週では,79.8%で,経過とともに(平均156週)25例陰性化し,57.7%と低下し,力価も28週をピークとして低下した...

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Published in肝臓 Vol. 27; no. 10; pp. 1371 - 1375
Main Authors 橋本, 悦子, 中西, 敏己, 吉田, 錦吾, 邸, 世賢, 栗原, 毅, 山内, 克己, 奥田, 博明, 久満, 董樹, 小幡, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1986
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Summary:HBワクチン接種例の長期観察と,follow-up後にHBs抗体の力価(PHA法)が23以下の例にHBワクチンのBooster injectionを施行し,そのHBs抗体responseを検討した.HBsAg, anti-HBs陰性の116例に1981年8月から82年11月の期間にHBワクチン(HBsAg 20μg)を,初回,4週,24週後に接種した.そして,84年5月,85年8月にfollow-up後の検査を施行した.HBs抗体(PHA法)陽性率は,ワクチン接種終了時の28週では,79.8%で,経過とともに(平均156週)25例陰性化し,57.7%と低下し,力価も28週をピークとして低下した.又,力価上昇の1例はHBウイルスの感染と考えられた. Booster injectionでは,Responderでは全例,すみやかに十分なHBs抗体responseがみられ,HBs抗体産生メモリは保たれていると考えられ,Low responderでは70%, No responderでは23.1%であった.経過とともに,HBワクチンによって得られたHBs抗体の力価は低下し,力価が感染予防に不十分な例には,Booster injection(1回)が必要であるので,少なくとも1年毎の定期的なfollow-upを要すると思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.27.1371