尿路感染症に対するCefepimeの基礎的・臨床的検討

新しい注射用セフェム系抗生剤であるcefepime (BMY-28142, CFPM) について基礎的・臨床的検討を行った。 1. 抗菌力: 教室保存の尿路感染症分離菌 (11菌種, 各47~50株) に対するCFPM, ceftazidime (CAZ), cefuzonam (CZON), cefmetazole (CMZ), latamoxef (LMOX) のMICをMIC 2000システムを用いて測定した (105CFU/ml: 接種菌量)。CFPMのMIC90は, グラム陰性桿菌に対しては, Escherichia coli, Klchsiella pneumoniae では0.0...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 39; no. Supplement2; pp. 206 - 213
Main Authors 三熊, 直人, 広瀬, 崇興, 熊本, 悦明, 島村, 昭吾, 酒井, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1991
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Summary:新しい注射用セフェム系抗生剤であるcefepime (BMY-28142, CFPM) について基礎的・臨床的検討を行った。 1. 抗菌力: 教室保存の尿路感染症分離菌 (11菌種, 各47~50株) に対するCFPM, ceftazidime (CAZ), cefuzonam (CZON), cefmetazole (CMZ), latamoxef (LMOX) のMICをMIC 2000システムを用いて測定した (105CFU/ml: 接種菌量)。CFPMのMIC90は, グラム陰性桿菌に対しては, Escherichia coli, Klchsiella pneumoniae では0.05μg/ml以下でありCAZより優れ, Proteus mirabilisでは0.1μg/ml, indole (+) Proteus spp.では0.78μg/mlであった。また, Serratia marcescensでは625μg/mlでありCAZより一段劣る抗菌力を示した。また, Enterobacter spp.では625μg/mlと他剤より優れた抗菌力を示した. 2. 臨床的検討二CFPMを複雑性尿路感染症12例に投与し, 臨床効果および副作用の検討を行った,投与量は1回0.5gを1日朝・夕2回, 原則として10日間投与した。12例中UTI薬効評価基準に合致した症例は11例であった.投与5日目のUTI薬効評価基準による総合臨床効果は, 著効4例, 有効3例, 無効4例で総合有効率は63.6%であった。細菌学的効果に関しては, グラム陰性桿菌においては81.8%, グラム陽性球菌に対しては75.0%の消失率であった。 副作用に関しては12例中本剤によると思われる自他覚所見の異常は1例もなかった。臨床検査値異常変動ではGPTの上昇を1例8.3%に認めた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.39.Supplement2_206