Sparfloxacin (SPFX) の胆汁・皮膚移行および外科領域感染症に対する臨床使用経験
外科的感染症37例にsparfloxacin (SPFX) を使用するとともに総胆管結石術後のT-tube drainage中あるいはpercutaneous transhepatic cholangiodrainage (PTCD) 中の5例について本剤の胆汁移行を, 膿瘍形成症例2例 (延3例) について膿汁移行を, さらに乳房生検の対象となった11例について皮膚移行を検索し, 以下の結果を得た。1) 本剤300mgを内服させた5例の血漿中濃度は4時間から8時間で0.94~2.75μg/mlのピークレベルとなり, 24時間後で0.38~0.69μg/ml, 48時間で0.09~0.35μg...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 39; no. Supplement4; pp. 601 - 619 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1991
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.39.Supplement4_601 |
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Summary: | 外科的感染症37例にsparfloxacin (SPFX) を使用するとともに総胆管結石術後のT-tube drainage中あるいはpercutaneous transhepatic cholangiodrainage (PTCD) 中の5例について本剤の胆汁移行を, 膿瘍形成症例2例 (延3例) について膿汁移行を, さらに乳房生検の対象となった11例について皮膚移行を検索し, 以下の結果を得た。1) 本剤300mgを内服させた5例の血漿中濃度は4時間から8時間で0.94~2.75μg/mlのピークレベルとなり, 24時間後で0.38~0.69μg/ml, 48時間で0.09~0.35μg/mlにまで低下したのに対し, 胆汁中濃度は内服後4~10時間で8.4~16.7μg/mlのピークレベルに達し, さらに12~24時間の分画でも5.6~11.7μg/ml, 24~48時間では2.5~11.9μg/mlのレベルを維持していた。胆汁中にはこれら未変化体の他に2.3~23倍量のglucuronide体が検出された。2) 本剤の皮膚移行は11例中8例で, 膿汁中移行は2例中1例で血漿レベルを上回る移行がみられた。3) 本剤の臨床効果は37例で著効13例, 有効14例, やや有効8例, 無効2例で, 有効率は73%であった。4) 細菌学的効果は28例で評価され, 消失24例, 菌交代3例, 不変1例であり, 消失率は96%, 分離菌別細菌学的効果は40株中, 消失39株, 不変1株で, 消失率98%であった。5) MICは41株で検討され, 全株6.25μg/ml以下で, Staphylococcus aureus 4株ではすべて0.2μg/ml以下, methicillinresistant Staphylococcus aureus (MRSA) 1株は0.1μg/ml, Streptococcus haemolyticus2株は0.025μg/ml, Streptococcus agalactiae 1株は1.56μg/ml, Pseudomonas aeruginosa3株は0.78μg/ml以下であった。6) 副作用としては24歳男性に一過性のrashを認めた。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.39.Supplement4_601 |