全周性外翻三角吻合による消化管再建術の検討

目的:機械吻合による消化管再建術でも,縫合不全や吻合部狭窄などの問題があり,今回linear staplerを用いた全外翻吻合による,消化管再建吻合術を検討した.方法:牛の腸管実験で,底辺が内翻となる従来法と,全て外翻となる今回検討の三角吻合の両者間の比較検討を行った.その結果をもって,臨床的全三角吻合の検討を行った.結果:実験では従来法に比べ,全外翻吻合はstapler lineが直線化され,大きい吻合口が確保された.このことから,食道2例,胃8例,大腸5例の計15例 (A群)に,全外翻三角吻合による再建術を施行した.後ろ向き調査による従来の三角法でのB群(食道12例,胃13例,大腸5例の計...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 10; pp. 2267 - 2272
Main Authors 孫, 敬洙, 古川, 良幸, 三宅, 亮, 吉田, 清哉, 柏木, 秀幸, 小林, 進, 伊藤, 隆介, 渡辺, 一裕, 小菅, 誠, 遠山, 洋一, 薄葉, 輝之, 矢永, 勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.2267

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Summary:目的:機械吻合による消化管再建術でも,縫合不全や吻合部狭窄などの問題があり,今回linear staplerを用いた全外翻吻合による,消化管再建吻合術を検討した.方法:牛の腸管実験で,底辺が内翻となる従来法と,全て外翻となる今回検討の三角吻合の両者間の比較検討を行った.その結果をもって,臨床的全三角吻合の検討を行った.結果:実験では従来法に比べ,全外翻吻合はstapler lineが直線化され,大きい吻合口が確保された.このことから,食道2例,胃8例,大腸5例の計15例 (A群)に,全外翻三角吻合による再建術を施行した.後ろ向き調査による従来の三角法でのB群(食道12例,胃13例,大腸5例の計30例)と比較検討したところ,縫合不全はA群B群ともに6.7%であり,また吻合部狭窄はB群のみに4例 (13.3%) 認められた.結論:全外翻三角吻合は,従来法に比し安全性は同等以上であり,特により術後吻合部狭窄を起しにくい再建法であると示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2267