呼吸器感染症に対するcefozopranの基礎的・臨床的検討
Cefozopran (以下CZOP) の各種下気道感染症に対する基礎的, 臨床的検討を行ったので, その結果を報告する。 1. 体内動態: 肺切除患者1例に, CZOP1gを静注して肺組織への移行を測定した。また腎機能が正常な高齢者2例において, CZOPを1g点滴静注して血中濃度推移と尿中濃度を測定した。 投与1時間後の肺組織内濃度は33.8μg/gで血清との濃度比は91.4% (肺組織内濃度/血清中濃度) であった。また, 2例の高齢者における血中濃度半減期は各々3.23時間および3.58時間であり, 投与24時間後の尿中排泄率は各々78.3%及び98.0%であった。 2. 各種下気道感...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 41; no. Supplement4; pp. 207 - 215 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1993
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.41.Supplement4_207 |
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Summary: | Cefozopran (以下CZOP) の各種下気道感染症に対する基礎的, 臨床的検討を行ったので, その結果を報告する。 1. 体内動態: 肺切除患者1例に, CZOP1gを静注して肺組織への移行を測定した。また腎機能が正常な高齢者2例において, CZOPを1g点滴静注して血中濃度推移と尿中濃度を測定した。 投与1時間後の肺組織内濃度は33.8μg/gで血清との濃度比は91.4% (肺組織内濃度/血清中濃度) であった。また, 2例の高齢者における血中濃度半減期は各々3.23時間および3.58時間であり, 投与24時間後の尿中排泄率は各々78.3%及び98.0%であった。 2. 各種下気道感染症30例にCZOPを投与し, その臨床的有用性を検討した。臨床効果判定が可能あった27症例の内訳は肺炎15例, 肺化膿症3例, 気管支拡張症 (感染時) 4例, 膿胸1例, 気管支炎1例, びまん性汎細気管支炎3例であった。その臨床効果は著効14例, 有効10例, 無効2例で有効率は92.6% (25/27) と非常に高いものであった。副作用は, 嘔気1例, 皮疹2例が発現したが, いずれも軽度で速やかに消失した。また臨床検査値異常は6例で発現し, その内訳は好酸球増多とGOTの上昇が1例, GOTの上昇が1例, GOTとGPTの上昇が2例, 血清Kの上昇が2例であったが, いずれも軽度の上昇であり, 治療薬投与終了後速やかに回復するものであった。 以上の結果よりCZOPは呼吸器感染症に対して有用性の高い薬剤であると考えられた。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.41.Supplement4_207 |