培養不可能な状態(VNC)のHelicobbcter pyloriの培養条件の検討
通常培養可能な病原菌が, 生きているにもかかわらず, 通常の培養方法では発育しないViable but nonculturable (VNC )と呼ばれる状態が知られている.coccoid formのH.pyloriはまさにこの状態にあると考えられる.今回, 私たちは, in vitroにおいて, 消化性潰瘍患者から分離された菌株から得られたcoccoidformからの培養を試みた.硫酸アンモニウム溶液中で熱刺激を行った後に, ヒト溶赤血球, 血清および細胞修復剤であるピルビン酸ナトリウムを加えた液体培地中で, cocclid formかららせん状桿菌の発育を認めた.また, この発育菌は血液寒...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 15 - 19 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
1999
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.15 |
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Summary: | 通常培養可能な病原菌が, 生きているにもかかわらず, 通常の培養方法では発育しないViable but nonculturable (VNC )と呼ばれる状態が知られている.coccoid formのH.pyloriはまさにこの状態にあると考えられる.今回, 私たちは, in vitroにおいて, 消化性潰瘍患者から分離された菌株から得られたcoccoidformからの培養を試みた.硫酸アンモニウム溶液中で熱刺激を行った後に, ヒト溶赤血球, 血清および細胞修復剤であるピルビン酸ナトリウムを加えた液体培地中で, cocclid formかららせん状桿菌の発育を認めた.また, この発育菌は血液寒天培地およびスキロー培地においても発育が可能であった.VNC状態からの培養には, 刺激による休眠状態からの覚醒, さらに覚醒した細胞に対する栄養要求の実現の二つの過程が必要である. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.15 |