核酸アプタマー選抜・解析に基づく生体由来夾雑系試料の評価法開発

細胞や血液のような複雑な生体試料に対して解析・診断を行う場合,夾雑成分の多様性や濃度範囲の広さ,成分毎の物理化学的特性の差異から全成分の一斉解析は困難となる。したがって,一般的には何らかの前処理と特定成分の網羅的解析法(オミクス)や標的分子特異的解析法(イムノアッセイ)を組み合わせた解析法が多くの場合用いられている。しかしながら,前者では成分ごとに異なる原理・装置での解析が必要となる点が,後者では多成分解析に多大な手間・費用が生じる点が,それぞれ課題となっている。その解決のため、本研究では,標的分子特異的に結合する配列を有する核酸(アプタマー)を用いた,複雑な生体試料の総合的解析・評価法を新た...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 217
Main Author 末吉, 健志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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Summary:細胞や血液のような複雑な生体試料に対して解析・診断を行う場合,夾雑成分の多様性や濃度範囲の広さ,成分毎の物理化学的特性の差異から全成分の一斉解析は困難となる。したがって,一般的には何らかの前処理と特定成分の網羅的解析法(オミクス)や標的分子特異的解析法(イムノアッセイ)を組み合わせた解析法が多くの場合用いられている。しかしながら,前者では成分ごとに異なる原理・装置での解析が必要となる点が,後者では多成分解析に多大な手間・費用が生じる点が,それぞれ課題となっている。その解決のため、本研究では,標的分子特異的に結合する配列を有する核酸(アプタマー)を用いた,複雑な生体試料の総合的解析・評価法を新たに提案する。本法では,生体試料とランダム配列を有する核酸ライブラリを混合後,生体試料中成分と特異的に結合した核酸群のみを核酸ライブラリから分離し,その配列を解析する。得られた配列情報は生体試料の組成を反映したものとなり,複雑な成分情報が核酸配列情報に変換された状態で一斉取得されるものと期待される。その実現のため,本研究ではミクロスケール電気泳動フィルタリングに基づく簡便かつ高効率な核酸アプタマー選抜デバイスを開発している。モデル試料として各種タンパク質を用いたアプタマー選抜・配列解析を行い,その方法論の基礎的評価を行った結果について報告する。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.217