対話中の言葉の理解/表出に関わる脳活動―MEG ハイパースキャニングによる研究

【背景・目的】対話は日常生活の中核を成すコミュニケーション手段である。コミュニケーションでは双方向に情報が交換され、対話場面においても私たちの発言は相互に影響を及ぼし合っている。そこで、有意味語または無意味語を相互に発言する2者の脳活動をDual MEGシステムを用いて同時計測(ハイパースキャニング)し、コミュニケーションにおける意味の理解に関わる脳内メカニズムについて検討した。【方法】健常成人10名(平均年齢±標準偏差:22.8±1.2歳、女性6名)が参加した。実験中は常に相手の顔が見えており、単語条件・非単語条件の指示に従って5秒おきに呈示される注視点のタイミングで交互に発言をした。単語条...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 343
Main Authors 穴田, 理紗, 渡辺, 隼人, 白石, 秀明, 横澤, 宏一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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Summary:【背景・目的】対話は日常生活の中核を成すコミュニケーション手段である。コミュニケーションでは双方向に情報が交換され、対話場面においても私たちの発言は相互に影響を及ぼし合っている。そこで、有意味語または無意味語を相互に発言する2者の脳活動をDual MEGシステムを用いて同時計測(ハイパースキャニング)し、コミュニケーションにおける意味の理解に関わる脳内メカニズムについて検討した。【方法】健常成人10名(平均年齢±標準偏差:22.8±1.2歳、女性6名)が参加した。実験中は常に相手の顔が見えており、単語条件・非単語条件の指示に従って5秒おきに呈示される注視点のタイミングで交互に発言をした。単語条件では相手が言った単語から連想される単語を、非単語条件では連続する50音から3文字以上の言葉を互いに発言した。1つの言葉に対するやりとりを1試行とし、全64試行を実施した。得られたデータからα(8―12 Hz)の振幅を抽出した。発話後を基準とし、発話前(考えている時間)の律動振幅を標準化した後、各周波数帯域の振幅について脳領域(62)と条件(2)の2-way RM ANOVAを実施した。【結果・考察】α波振幅において脳領域の主効果が有意であった(p<0.01)。また、脳領域と条件の交互作用も有意となった(p<0.01)ことから、各条件において異なる脳領域が活動していると考えられる。言語コミュニケーション中の意味の理解や表出を表象する脳機能の存在が示唆された。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.343