ディープラーニングによる物体検出:膀胱内視鏡における膀胱癌診断

【背景】膀胱癌は経尿道手術後に再発が多い腫瘍であり、膀胱鏡での腫瘍の見落としが原因とされている。従来の白色光(WLI)に加え、NBIは腫瘍検出の精度が改善する報告があるが、検者の経験に依存するため、再現性・客観性が乏しいことが課題である。近年、客観的な診断ツールとして人工知能(AI)が活用されているが、膀胱鏡においてAIによる腫瘍検出の研究はあまり行われていない。今回、我々はWLI/NBI膀胱鏡画像を用いて、AIによる腫瘍検出の精度を検証した。【方法】2019年12月から2020年11月まで、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の際に、WLI/NBIを用いて観察を行った症例の手術動画から膀胱鏡...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 299
Main Authors 牟田口, 淳, 小田, 昌宏, 小林, 聡, 猪口, 淳一, 森, 健策, 江藤, 正俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【背景】膀胱癌は経尿道手術後に再発が多い腫瘍であり、膀胱鏡での腫瘍の見落としが原因とされている。従来の白色光(WLI)に加え、NBIは腫瘍検出の精度が改善する報告があるが、検者の経験に依存するため、再現性・客観性が乏しいことが課題である。近年、客観的な診断ツールとして人工知能(AI)が活用されているが、膀胱鏡においてAIによる腫瘍検出の研究はあまり行われていない。今回、我々はWLI/NBI膀胱鏡画像を用いて、AIによる腫瘍検出の精度を検証した。【方法】2019年12月から2020年11月まで、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の際に、WLI/NBIを用いて観察を行った症例の手術動画から膀胱鏡画像を作成し、腫瘍を含む画像を腫瘍画像、腫瘍を含まない画像を正常画像と定義した。腫瘍画像を学習データ、テストデータに分類し、AIによる感度、特異度、陽性的中率を評価した。AIでの物体検出はtiny-YOLOを用い、医師個人のコンピューター上で環境構築を行った。【結果】腫瘍画像(WLI:809枚、NBI:684枚)をそれぞれtiny-YOLOで学習を行い、腫瘍画像(WLI:280枚、NBI:87枚)と正常画像(WLI:104枚、NBI:104枚)で精度検証を行った。AIによる物体検出の感度/特異度/陽性的中率は、WLIで84.6%/76.9%/90.8%、NBIで78.1%/97.1%/95.8%であった。【結論】膀胱鏡画像において、AIにより比較的良好に腫瘍検出が可能であった。更なる精度改善、リアルタイム検出への課題について、文献的考察を加え報告する。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.299