高密度培養デバイスと3次元CNNを用いたhiPS胚様体の生産効率化

幹細胞から各種細胞への分化誘導において,胚様体の大きさは,分化の方向性や効率を決定づける大きな要因となる.高い再現性・効率性で分化誘導を行うには,大量の胚様体を均一に形成する事に加え,最終的な胚様体の大きさの早期かつ定量的な予測,選別が非常に重要である.そこで我々は,「TASCL」という,均一な細胞塊を同条件で同時に大量培養可能なマイクロデバイスを用い,多数のヒトiPS胚様体の最終的な品質を,細胞播種後, 数時間で予測する事を目指している.本研究では,TASCL内の細胞群が,(1) 播種から24時間後に「胚様体を形成するか否か」,及び (2) 播種から72時間後の「胚様体の直径」を播種した細胞...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 325
Main Authors 江崎, ゆり子, 須田, 修矢, 池内, 真志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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Summary:幹細胞から各種細胞への分化誘導において,胚様体の大きさは,分化の方向性や効率を決定づける大きな要因となる.高い再現性・効率性で分化誘導を行うには,大量の胚様体を均一に形成する事に加え,最終的な胚様体の大きさの早期かつ定量的な予測,選別が非常に重要である.そこで我々は,「TASCL」という,均一な細胞塊を同条件で同時に大量培養可能なマイクロデバイスを用い,多数のヒトiPS胚様体の最終的な品質を,細胞播種後, 数時間で予測する事を目指している.本研究では,TASCL内の細胞群が,(1) 播種から24時間後に「胚様体を形成するか否か」,及び (2) 播種から72時間後の「胚様体の直径」を播種した細胞群の30分ごとのタイムラプス画像を元に,三次元畳み込みニューラルネットワークを用いて予測した.その結果,播種後3時間経過時までの画像群を用い,テストデータに対し96.5%の精度で胚様体形成の有無の予測に成功した.また播種から72時間後の平均直径158.3umの胚様体群に対し,播種後6時間までの画像群から±7.1umの誤差で直径の予測に成功した.本手法を,胚様体培養中の各ウェル選択的に処理を施せるデバイスと組み合わせる事で,胚様体を形成しないと予測されたウェルを早期に排除して試薬の使用量を削減,あるいは播種自体を早期にやり直し,培養速度・効率を大幅に上げる事が可能となる.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.325