10W半導体レーザー照射による散乱光強度の計測

10W半導体レーザーはリハビリテーションや整形外科などの領域で主に疼痛緩和治療に用いられている。一般に治療対象部位(組織)に対して経皮的に照射されるが、ドレッシング材貼付などの理由により当該部位に照射困難な場合もある。近赤外線カメラを用いるとレーザー照射部位の周辺において、広範囲に散乱光を確認することができる。このため、照射部から離れた部位でも十分な強度の散乱光があれば治療が成立する可能性がある。しかし、10W半導体レーザーの散乱光強度に関する報告は見当たらない。本研究はこの散乱光強度を確認することを目的とした。本研究は本庄総合病院倫理委員会の承認を得て実施した。健常成人を対象とし、前腕掌側皮...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 335
Main Authors 竹内, 伸行, 松本, 昌尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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Summary:10W半導体レーザーはリハビリテーションや整形外科などの領域で主に疼痛緩和治療に用いられている。一般に治療対象部位(組織)に対して経皮的に照射されるが、ドレッシング材貼付などの理由により当該部位に照射困難な場合もある。近赤外線カメラを用いるとレーザー照射部位の周辺において、広範囲に散乱光を確認することができる。このため、照射部から離れた部位でも十分な強度の散乱光があれば治療が成立する可能性がある。しかし、10W半導体レーザーの散乱光強度に関する報告は見当たらない。本研究はこの散乱光強度を確認することを目的とした。本研究は本庄総合病院倫理委員会の承認を得て実施した。健常成人を対象とし、前腕掌側皮膚上に10W半導体レーザーを照射し、その部位から2cm、4cm、6cm、8cm、10cm離れた各部位の皮膚表面の散乱光強度を、フォトダイオードセンサを用いたパワーメータで計測した。結果、照射部位から離れるほどに強度の減弱を認めたものの、10cm離れた部位でも散乱光が確認された。治療対象部位に照射できない場合でも、その周辺部(遠隔部)への照射で治療ができる可能性が示唆された。ただし、現状では治療に必要な強度、つまり何らかの生体反応を引き起こすのに必要な光の強度は明確ではない部分も多い。このため、治療部位と照射部位の距離および強度の変化、治療に必要な光の強度などを検討する必要があると示唆された。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.335