トンネル磁気抵抗素子を用いた室温脳磁計による体性感覚誘発磁界の測定
【背景】従来の脳磁計は超伝導量子干渉素子(SQUID)を液体ヘリウム容器に格納する必要があり、センサと頭皮との距離が離れる欠点があった。我々は室温で体表に接した生体磁気計測を可能とすべく、トンネル磁気抵抗(TMR)素子を用いたセンサを開発し、すでに健常被験者における心磁図や脳磁図アルファ波の計測に成功している。今回、正中神経刺激による体性感覚誘発磁界の第1波N20mを再現性よく計測できたので報告する。【方法】健常被験者の左手首の正中神経刺激を、通常の臨床検査と同様に、持続時間は0.3 ms、刺激頻度は2.9 Hz、刺激強度は母指外転筋運動閾値の1.5倍で刺激した。磁気シールド室内で、1チャンネ...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 243 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2021
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Summary: | 【背景】従来の脳磁計は超伝導量子干渉素子(SQUID)を液体ヘリウム容器に格納する必要があり、センサと頭皮との距離が離れる欠点があった。我々は室温で体表に接した生体磁気計測を可能とすべく、トンネル磁気抵抗(TMR)素子を用いたセンサを開発し、すでに健常被験者における心磁図や脳磁図アルファ波の計測に成功している。今回、正中神経刺激による体性感覚誘発磁界の第1波N20mを再現性よく計測できたので報告する。【方法】健常被験者の左手首の正中神経刺激を、通常の臨床検査と同様に、持続時間は0.3 ms、刺激頻度は2.9 Hz、刺激強度は母指外転筋運動閾値の1.5倍で刺激した。磁気シールド室内で、1チャンネルのTMR素子(JST S-イノベプロジェクトで製作)と磁束集束構造を組み合わせた磁気センサを、被験者の右頭頂部に固定し、頭皮に水平な磁界成分を計測した。得られた信号は16ビットでサンプル周波数2,000HzにてA/D変換し、帯域フィルタ5-250Hzで処理後に、波形が明瞭になるまで合計1,000から5,000回の平均加算を行った。【結果】刺激から潜時約20msに頂点をもつ第1波と、その後の第2、第3波が明瞭に記録され、同一被験者でSQUID脳磁計にて測定した波形と同一成分と確認できた。【結語】今回の結果は、TMR脳磁計の実用化に大きく寄与するものと期待される。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual59.243 |