成人にみられた先天性総胆管嚢胞の一例

35歳男性に発生した先天性総胆管嚢腫の1例を報告した. エコーグラフィ及びCTスキャンで肝下面の巨大な嚢腫を証明した. 手術は完全摘出を施行し, 肝門部でRoux-en-Y吻合による肝管空腸吻合で再建した. 本症について文献的に考察を加えた.「はじめに」先天性総胆管嚢胞は東洋人, 特に日本人に多いとされているが, 日常臨床上それほどしばしば遭遇する疾患ではない. 最近では診断技術の向上によって, 本症のほとんどは小児期に発見されるようになったが, 成人になって初めて診断される症例もなくはない. われわれは35歳男子の先天性総胆管嚢胞を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例 症例:3...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in川崎医学会誌 Vol. 9; no. 2; pp. 199 - 204
Main Authors 木元正利, 崔哲洵, 平野一宏, 今井博之, 長野秀樹, 清水裕英, 瀬尾泰雄, 岩本末治, 佐々木義仁, 山本康久, 佐野開三, 日野一成, 福島啓祐, 山本晋一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1983
Online AccessGet full text
ISSN0386-5924
DOI10.11482/kmj-j9(2)199

Cover

More Information
Summary:35歳男性に発生した先天性総胆管嚢腫の1例を報告した. エコーグラフィ及びCTスキャンで肝下面の巨大な嚢腫を証明した. 手術は完全摘出を施行し, 肝門部でRoux-en-Y吻合による肝管空腸吻合で再建した. 本症について文献的に考察を加えた.「はじめに」先天性総胆管嚢胞は東洋人, 特に日本人に多いとされているが, 日常臨床上それほどしばしば遭遇する疾患ではない. 最近では診断技術の向上によって, 本症のほとんどは小児期に発見されるようになったが, 成人になって初めて診断される症例もなくはない. われわれは35歳男子の先天性総胆管嚢胞を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例 症例:35歳, 男性, 高校教師. 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 主訴:黄疸. 現病歴:小児期より上腹部にときどき強い疼痛があり, たびたび医師を訪れたが胃痙攣の診断にて加療されていた. 数回の入院歴があるが胆道系の異常を指摘されたことはない.
ISSN:0386-5924
DOI:10.11482/kmj-j9(2)199