特発性脊髄硬膜外血腫の1治験例

73歳の女性が突然腰痛を生じ, その1時間後に起こった両下肢の運動麻痺と感覚消失を主訴に入院した. 病歴, 神経学的所見, 脳脊髄液検査, ミエログラフィーにより脊椎管腔内の占拠性病変が疑われ, 発症6日後に行なわれた椎弓切除術と術後の諸検査により特発性脊髄硬膜外血腫と診断された. 本症は非常に稀な疾患であり, 本邦では本例を含め僅かに10例が報告されているにすぎない. 「はじめに」突然の疼痛発作後, 急激な対麻痺をきたす疾患のひとつとして脊髄硬膜外血腫があげられるが, 原因の明らかでない特発性脊髄硬膜外血腫は非常に稀な疾患である. 我々は最近, 腰痛発作後, 突然両下肢の対麻痺と感覚消失をき...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 7; no. 2; pp. 169 - 173
Main Authors 吉田直之, 安田雄, 守本研二, 寺尾章, 山野慶樹, 日野洋介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1981
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Summary:73歳の女性が突然腰痛を生じ, その1時間後に起こった両下肢の運動麻痺と感覚消失を主訴に入院した. 病歴, 神経学的所見, 脳脊髄液検査, ミエログラフィーにより脊椎管腔内の占拠性病変が疑われ, 発症6日後に行なわれた椎弓切除術と術後の諸検査により特発性脊髄硬膜外血腫と診断された. 本症は非常に稀な疾患であり, 本邦では本例を含め僅かに10例が報告されているにすぎない. 「はじめに」突然の疼痛発作後, 急激な対麻痺をきたす疾患のひとつとして脊髄硬膜外血腫があげられるが, 原因の明らかでない特発性脊髄硬膜外血腫は非常に稀な疾患である. 我々は最近, 腰痛発作後, 突然両下肢の対麻痺と感覚消失をきたした特発性脊髄硬膜外血腫を経験し手術的に治癒させ得たので, 若干の考察を加えここに報告する. 「症例」患者:73歳 女性 主婦. 既往歴:高血圧で加療中. 家族歴:患者の母親が高血圧症. その他特記することはない. 主訴:腰痛, 両下肢の運動麻痺及び感覚障害.
ISSN:0386-5924
DOI:10.11482/kmj-j7(2)169