多発性早期胃癌, 異型上皮巣を合併した十二指腸ブルンネル腺腫の1例

多発性早期胃癌, 異型上皮巣を合併した十二指腸ブルンネル腺腫の1例を報告し, 本邦における十二指腸ブルンネル腺腫と胃癌合併例についての文献的考察を行った. 症例は69歳男性, 胃集団検診で十二指腸ポリープを指摘され精査目的で当院外科に入院した. 術前に, 早期胃癌(IIc+IIb), 異型上皮巣を合併した十二指腸粘膜下腫瘤と診断した. 切除標本では, 十二指腸球部前壁に2.2×1.8cmの山田IV型の隆起病変, 前庭部には0.8×1.2cmの扁平隆起病変が認められたが, 胃体中部後壁の病変は, わずかに浅い陥凹を示すのみで肉眼的に病変の正確な局在を指摘することはできなかった. 病理組織所見は,...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 11; no. 1; pp. 195 - 200
Main Authors 光野正人, 磯村泰之, 山下昭彦, 朝倉孝弘, 野田和人, 田原昌人, 木曽光則, 松井俊行, 小山晃甫, 吉岡一由, 平松収, 佐藤博道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1985
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ISSN0386-5924
DOI10.11482/kmj-j11(1)195

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Summary:多発性早期胃癌, 異型上皮巣を合併した十二指腸ブルンネル腺腫の1例を報告し, 本邦における十二指腸ブルンネル腺腫と胃癌合併例についての文献的考察を行った. 症例は69歳男性, 胃集団検診で十二指腸ポリープを指摘され精査目的で当院外科に入院した. 術前に, 早期胃癌(IIc+IIb), 異型上皮巣を合併した十二指腸粘膜下腫瘤と診断した. 切除標本では, 十二指腸球部前壁に2.2×1.8cmの山田IV型の隆起病変, 前庭部には0.8×1.2cmの扁平隆起病変が認められたが, 胃体中部後壁の病変は, わずかに浅い陥凹を示すのみで肉眼的に病変の正確な局在を指摘することはできなかった. 病理組織所見は, 十二指腸ブルンネル腺腫, 多発性胃癌(IIc+IIb, IIb, moderately differenciated tubular adenocarcinoma), ATPであった. 「はじめに」十二指腸の原発性腫瘍は比較的まれとされるが, 近年の診断技術の進歩に伴い, その報告例は増加している. 本邦では, 十二指腸上皮性良性腫瘍の中で, Brunner腺腫が最も頻度が高いが, その病理組織学的特徴から真の腫瘍とはされず, Brunner腺過形成あるいは過誤腫とも呼称されている. われわれは, 多発性早期胃癌および異型上皮巣を合併した十二指腸Brunner腺腫の1例を経験したので報告する.
ISSN:0386-5924
DOI:10.11482/kmj-j11(1)195