特定健診受診者を対象としたメンタルヘルスと睡眠の質及び特定健診測定値の検討

「抄録」特定健診・特定保健指導は生活習慣病(糖尿病, 脂質異常症, 高血圧)の対策として行われているが, メンタルヘルスや睡眠について十分な検討や対策は出来ていない. 今回, 我々は特定健診受診者の健診結果とメンタルヘルス及び睡眠について詳細を明らかにすることを目的に本研究を行った. 本研究への参加を書面にて同意頂いた特定健診受診者76名(女性41名, 男性35名)を対象に研究を行った. 対象者には健診受診時に日本語版ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index, PSQI)及び一般健康調査票(General Health Questionnaire,...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 44; no. 2; pp. 107 - 114
Main Authors 渡邉和志, 藤本壮八, 山中義之, 高尾俊弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 2018
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Summary:「抄録」特定健診・特定保健指導は生活習慣病(糖尿病, 脂質異常症, 高血圧)の対策として行われているが, メンタルヘルスや睡眠について十分な検討や対策は出来ていない. 今回, 我々は特定健診受診者の健診結果とメンタルヘルス及び睡眠について詳細を明らかにすることを目的に本研究を行った. 本研究への参加を書面にて同意頂いた特定健診受診者76名(女性41名, 男性35名)を対象に研究を行った. 対象者には健診受診時に日本語版ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index, PSQI)及び一般健康調査票(General Health Questionnaire, GHQ)-12項目版の回答を求めた. 調査項目はPSQIとGHQ-12の及び特定健診の測定項目, 精神健康の指標World Health Organization Well-being Index (WHO)-5を含む健診問診票の結果を対象とした. PSQIのスコアを6点以上と未満とで分け特定健診測定値を比較した結果は有意差を認めなかった. GHQ-12とPSQIのスコアはSpearmanの順位相関係数で有意な相関を認めた(r=0.63, p<0.01). また, GHQ-12とPSQIの7つの要素と性別及び年齢で多変量解析を用いて検討した結果GHQ-12は睡眠の質(β=0.32, t=2.96, p<0.01)と日中の眠気(β=0.37, t=3.93, p<0.01)で有意な関連を示した. GHQ-12の代わりにWHO-5を用いた結果でも同様であった. 今回の検討では特定健診受診者において睡眠の状態とメンタルヘルスに相関を認め, 特に熟眠感の欠如と日中の眠気がメンタルヘルスにとって重要な症状であることを示唆した.
ISSN:0386-5924
DOI:10.11482/kmj-j44(2)107