輸血1年後にHCV感染が判明し, 5年後に肝硬変と診断された1例

症例は72歳の男性. 1993年10月胸部大動脈瘤の手術の際, 輸血を受けた. 輸血13日後に軽度の肝機能障害が出現するも一過性で改善した. 1年後の血液検査にてGPT 275IU/lと肝機能異常を認め, これまで陰性であったHCV抗体が陽性であることがはじめて判明した. 輸血後のC型肝炎を疑われるも, 年齢を考慮しUDCA内服のみで経過観察されていた. 以後, GPTは100IU/l以下で推移していたが, 徐々に膠質反応の上昇および血小板数の低下が認められ, 1998年6月精査加療目的に当科入院となる. 今回入院時, TTV-DNAも陽性となっており, 肝生検組織ではすでに肝硬変の所見を呈し...

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Published in肝臓 Vol. 40; no. 10; pp. 556 - 561
Main Authors 西間木, 友衛, 鈴木, 智浩, 粕川, 禮司, 高木, 忠之, 宮田, 昌之, 大平, 弘正, 東條, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.10.1999
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.40.556

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Summary:症例は72歳の男性. 1993年10月胸部大動脈瘤の手術の際, 輸血を受けた. 輸血13日後に軽度の肝機能障害が出現するも一過性で改善した. 1年後の血液検査にてGPT 275IU/lと肝機能異常を認め, これまで陰性であったHCV抗体が陽性であることがはじめて判明した. 輸血後のC型肝炎を疑われるも, 年齢を考慮しUDCA内服のみで経過観察されていた. 以後, GPTは100IU/l以下で推移していたが, 徐々に膠質反応の上昇および血小板数の低下が認められ, 1998年6月精査加療目的に当科入院となる. 今回入院時, TTV-DNAも陽性となっており, 肝生検組織ではすでに肝硬変の所見を呈していた. 本例は輸血後, 急速に肝硬変へ進展したと考えられ, 貴重な症例と考え報告した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.40.556