劇症肝炎様経過を呈した悪性リンパ腫2症例の検討

劇症肝炎様経過をとった悪性リンパ腫の2症例を経験した.症例1は73歳女性,症例2は75歳女性で,黄疸・意識障害が出現したため入院した.入院時腹部超音波検査では肝脾腫・肝内部エコーの著明なムラを認め,血液疾患の肝浸潤が疑われたが肝不全が急速に進行し数日以内に死亡した.剖検では,ともに肝は腫大し腫瘍細胞の浸潤を認め,門脈内皮下の腫瘍細胞浸潤のため,門脈内腔は狭窄または閉塞していた.脾・リンパ節・骨髄にも同腫瘍細胞の浸潤を認めた.本症例と当科で経験した劇症肝炎11例の臨床像および超音波像を比較した.症状・一般検査成績では血清ALP値以外は類似しており鑑別は困難であったが,超音波検査は肝腫大,中等度以...

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Published in肝臓 Vol. 34; no. 10; pp. 819 - 824
Main Authors 安藤, 洋子, 斉藤, 明子, 森屋, 真理子, 岡田, 裕子, 川瀬, 千津子, 久満, 董樹, 小幡, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1993
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Summary:劇症肝炎様経過をとった悪性リンパ腫の2症例を経験した.症例1は73歳女性,症例2は75歳女性で,黄疸・意識障害が出現したため入院した.入院時腹部超音波検査では肝脾腫・肝内部エコーの著明なムラを認め,血液疾患の肝浸潤が疑われたが肝不全が急速に進行し数日以内に死亡した.剖検では,ともに肝は腫大し腫瘍細胞の浸潤を認め,門脈内皮下の腫瘍細胞浸潤のため,門脈内腔は狭窄または閉塞していた.脾・リンパ節・骨髄にも同腫瘍細胞の浸潤を認めた.本症例と当科で経験した劇症肝炎11例の臨床像および超音波像を比較した.症状・一般検査成績では血清ALP値以外は類似しており鑑別は困難であったが,超音波検査は肝腫大,中等度以上の脾腫大,肝内部エコーの著明なムラが本症例の特徴であり,劇症肝炎との鑑別に有用であると思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.34.819