硬膜外持続鎮痛施行患者における術後早期呼吸訓練の効果

硬膜外持続鎮痛法を用いた上腹部術後患者26名を,術後3日間深呼吸だけを1日10回行なった群(DB群),トリフローIITMを1日5回行なった1群(TF I群)および1日10回行なった群(TF II群)の3群に分け,incentive spirometerを用いた術後早期の呼吸訓練が,術後の呼吸機能改善に有効かどうかを検討した.鎮痛効果は3群間に差はなく,深呼吸でも痛みを訴えない程度に維持された.呼吸機能について,肺活量,1秒率,最大呼気流速は,それぞれ3群間に有意差はなく,術後1日に術前値の50%に低下し,その後回復し術後10日で術前値の80%程度となった.PaO2は術前値に比べ術後3日間は低い...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 15; no. 10; pp. 678 - 684
Main Authors 大槻, 学, 荻野, 英樹, 赤津, 賢彦, 田勢, 長一郎, 奥秋, 晟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.12.1995
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Summary:硬膜外持続鎮痛法を用いた上腹部術後患者26名を,術後3日間深呼吸だけを1日10回行なった群(DB群),トリフローIITMを1日5回行なった1群(TF I群)および1日10回行なった群(TF II群)の3群に分け,incentive spirometerを用いた術後早期の呼吸訓練が,術後の呼吸機能改善に有効かどうかを検討した.鎮痛効果は3群間に差はなく,深呼吸でも痛みを訴えない程度に維持された.呼吸機能について,肺活量,1秒率,最大呼気流速は,それぞれ3群間に有意差はなく,術後1日に術前値の50%に低下し,その後回復し術後10日で術前値の80%程度となった.PaO2は術前値に比べ術後3日間は低いままで推移し,DB群とTF II群で低い傾向がみられたが群間に有意差はなかった.Incentive spirometerによる術後早期呼吸訓練の呼吸機能改善効果は,硬膜外持続鎮痛法による十分な鎮痛状態下では,定期的な深呼吸法と同程度と考えられた.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.15.678