巨大気腫性肺嚢胞切除術における術式の工夫

巨大気腫性肺嚢胞症例に対する嚢胞切除術において, 手術術式を工夫することにより良好な結果を得た.対象は, 39歳と36歳の男性で, 肺尖部に存在する巨大肺嚢胞に対し計三回の嚢胞切除術を標準開胸にて施行した.その際に, 手術術式に下記の工夫を加えた. (1) まず嚢胞壁を切開し内腔を観察する.(2) 嚢胞底部に存在する交通気管支開口部は, 直接縫合閉鎖を行わない. (3) 嚢胞底部を縫縮した後, 同部位を縫縮糸ごとステイプラーにて切除する.それによって気管支開口部も含めて肺嚢胞を完全に切除することができる. (4) 自己嚢胞壁をステイプラー縫合ラインの補強材として用いる.以上の方法により, 気管...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 12; no. 2; pp. 140 - 145
Main Authors 前川, 功二, 中瀬, 篤信, 田中, 明彦, 佐藤, 諦, 大澤, 久慶, 坂田, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.1998
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.12.140

Cover

Loading…
More Information
Summary:巨大気腫性肺嚢胞症例に対する嚢胞切除術において, 手術術式を工夫することにより良好な結果を得た.対象は, 39歳と36歳の男性で, 肺尖部に存在する巨大肺嚢胞に対し計三回の嚢胞切除術を標準開胸にて施行した.その際に, 手術術式に下記の工夫を加えた. (1) まず嚢胞壁を切開し内腔を観察する.(2) 嚢胞底部に存在する交通気管支開口部は, 直接縫合閉鎖を行わない. (3) 嚢胞底部を縫縮した後, 同部位を縫縮糸ごとステイプラーにて切除する.それによって気管支開口部も含めて肺嚢胞を完全に切除することができる. (4) 自己嚢胞壁をステイプラー縫合ラインの補強材として用いる.以上の方法により, 気管支開口部を探して直接縫合閉鎖するための時間が省略でき, また広範囲に嚢胞底部を有する巨大肺嚢胞においても, 確実な嚢胞切除が可能であった.術後は, 気漏などの合併症も認めず良好に経過した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.12.140