非B非C型慢性肝疾患に含まれる自己免疫性肝炎潜在例の検討
非B非C型慢性肝疾患の臨床像を自己免疫の観点から検討した.自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変は診断基準より除外し,アルコール性肝障害,薬剤性肝障害,脂肪肝などに起因する肝障害も除外した.対象50例中抗核抗体(ANA)陽性率算出の対象となった41例における陽性率は63.4%と高率であった.ANA陽性群は女性優位,トランスアミナーゼ優位の肝障害などの点で自己免疫性肝炎(AIH)群と類似しており,ANAの染色パターンも類似していた.ANA陽性群には,陰性から経過中に陽転した症例が6例認められ,1例はAIHと診断されステロイドにより著効が得られた.また,AIH群でもANAが経過中陽転した,非B非C型慢...
Saved in:
Published in | 肝臓 Vol. 37; no. 12; pp. 688 - 695 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
25.12.1996
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 非B非C型慢性肝疾患の臨床像を自己免疫の観点から検討した.自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変は診断基準より除外し,アルコール性肝障害,薬剤性肝障害,脂肪肝などに起因する肝障害も除外した.対象50例中抗核抗体(ANA)陽性率算出の対象となった41例における陽性率は63.4%と高率であった.ANA陽性群は女性優位,トランスアミナーゼ優位の肝障害などの点で自己免疫性肝炎(AIH)群と類似しており,ANAの染色パターンも類似していた.ANA陽性群には,陰性から経過中に陽転した症例が6例認められ,1例はAIHと診断されステロイドにより著効が得られた.また,AIH群でもANAが経過中陽転した,非B非C型慢性肝疾患からの移行例と考えられる症例が4例認められ,非B非C型慢性肝疾患の中にはAIHの不全型または前段階と考えられる症例が含まれているものと考えられた.さらに,AIHの国際基準では,ANA陽性群の84.6%,陰性群の68.4%がprobable以上と判定され,自己免疫の関与が疑われる症例が多く含まれているものと考えられた.ANA陽性群のうちステロイド投与の2例は著効,UDCA投与の5例中1例は著効,2例は有効であり有効な治療法として期待できるものと考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.37.688 |