結節性再生性過形成を伴う胆管細胞癌の1剖検例

症例, 73歳, 女性. 肝右葉を置換するように高度に増殖した胆管細胞癌症例の左葉に典型的な結節性再生性過形成がみられた. 結節性再生性過形成の発生機序は門脈枝閉塞による肝内血流の不均等がもたらす肝細胞の萎縮とそれに対する代償反応であると一般に考えられているが, 本症例では門脈枝の病変はごく軽度であった. これに対して, 肝静脈枝は胆管細胞癌の侵襲とそれによると考えられる内膜肥厚のために狭窄, 閉塞していた. したがって, 本症例の結節性再生性過形成の発生には, 右葉の癌置換による肝細胞消失に対する代償性の左葉肝細胞の増生と, 左葉肝静脈枝の癌侵襲による狭窄, 閉塞の結果としての肝内血流の不均...

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Published in肝臓 Vol. 40; no. 12; pp. 672 - 676
Main Authors 松尾, 隆広, 竹下, 篤, 黒川, 晃夫, 江頭, 由太郎, 板橋, 司, 栗栖, 義賢, 井山, 峰一, 安田, 恵美, 福西, 恵一, 野村, 俊之, 芝山, 雄老, 成山, 硬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.12.1999
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.40.672

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Summary:症例, 73歳, 女性. 肝右葉を置換するように高度に増殖した胆管細胞癌症例の左葉に典型的な結節性再生性過形成がみられた. 結節性再生性過形成の発生機序は門脈枝閉塞による肝内血流の不均等がもたらす肝細胞の萎縮とそれに対する代償反応であると一般に考えられているが, 本症例では門脈枝の病変はごく軽度であった. これに対して, 肝静脈枝は胆管細胞癌の侵襲とそれによると考えられる内膜肥厚のために狭窄, 閉塞していた. したがって, 本症例の結節性再生性過形成の発生には, 右葉の癌置換による肝細胞消失に対する代償性の左葉肝細胞の増生と, 左葉肝静脈枝の癌侵襲による狭窄, 閉塞の結果としての肝内血流の不均等が関与していると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.40.672