縮小手術を施行した非小細胞肺癌70症例の検討

非小細胞肺癌に対する「消極的」縮小手術70症例の長期予後と局所再発を検討した.c-stageI全体の5年生存率は50.5%で, 腫瘍径30mm以下の症例は30mmを越える症例より有意に予後良好であり, 区域切除は部分切除よりやや予後良好な傾向があり, 扁平上皮癌と腺癌とで有意差はなかった.c-stageII以上の症例と大細胞癌の症例で60ヵ月以上の生存はなかった.局所再発率は腫瘍径が20mmを越える症例, 腫瘍縁と切離端との距離が20mm以下の症例で高くなる傾向があり, 腺癌は扁平上皮癌と比較して有意に局所再発率が高く, 大細胞癌は3症例全てに局所再発を認めた.c-stageIのハイリスク症例...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 12; no. 6; pp. 652 - 659
Main Authors 園部, 誠, 中川, 正嗣, 池上, 直行, 鈴村, 雄治, 長澤, みゆき, 神頭, 徹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.1998
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Summary:非小細胞肺癌に対する「消極的」縮小手術70症例の長期予後と局所再発を検討した.c-stageI全体の5年生存率は50.5%で, 腫瘍径30mm以下の症例は30mmを越える症例より有意に予後良好であり, 区域切除は部分切除よりやや予後良好な傾向があり, 扁平上皮癌と腺癌とで有意差はなかった.c-stageII以上の症例と大細胞癌の症例で60ヵ月以上の生存はなかった.局所再発率は腫瘍径が20mmを越える症例, 腫瘍縁と切離端との距離が20mm以下の症例で高くなる傾向があり, 腺癌は扁平上皮癌と比較して有意に局所再発率が高く, 大細胞癌は3症例全てに局所再発を認めた.c-stageIのハイリスク症例への「消極的」縮小手術の有用性が期待できるが, 腫瘍縁より切離端までの十分な距離の確保が必要で, 「積極的」縮小手術への適応拡大においては腫瘍径20mm以下, 腫瘍縁と切離端との距離20mm以上, 腺癌での慎重な適応決定が必須と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.12.652