糖尿病患者における事象関連電位と無症候性脳梗塞との関連について

糖尿病患者の認知機能と無症候性脳梗塞および白質病変との関連を検討する目的で, 事象関連電位 (P300) と頭部MRIによる無症候性脳梗塞の病巣個数の計数および側脳室前角部の白質T2値の測定を行った. 対象は明らかな痴呆を有さず脳血管障害の既往のない糖尿病患者50例 (DM群), 脳血管障害合併糖尿病患者18例 (DMCVD群), および正常対照者23例 (NC群) である.DM群ではさらに無症候性脳梗塞の病巣個数により, 無梗塞群, 単発群, 多発群の3群に分類した.DM群と比較してDMCVD群では有意に無症候性脳梗塞の平均個数が多く, その病巣数の多い群ほど白質T2値およびP300潜時の延...

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Published in脳卒中 Vol. 17; no. 3; pp. 209 - 217
Main Authors 赫, 彰郎, 師田, 晴子, 海江田, 亮, 永積, 惇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.06.1995
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.17.209

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Summary:糖尿病患者の認知機能と無症候性脳梗塞および白質病変との関連を検討する目的で, 事象関連電位 (P300) と頭部MRIによる無症候性脳梗塞の病巣個数の計数および側脳室前角部の白質T2値の測定を行った. 対象は明らかな痴呆を有さず脳血管障害の既往のない糖尿病患者50例 (DM群), 脳血管障害合併糖尿病患者18例 (DMCVD群), および正常対照者23例 (NC群) である.DM群ではさらに無症候性脳梗塞の病巣個数により, 無梗塞群, 単発群, 多発群の3群に分類した.DM群と比較してDMCVD群では有意に無症候性脳梗塞の平均個数が多く, その病巣数の多い群ほど白質T2値およびP300潜時の延長を認めた.糖尿病患者での認知機能低下は, 無症候性脳梗塞の病巣個数との関連性を認めたことより, 糖代謝異常による糖尿病性中枢神経障害に加え, 無症候性脳梗塞の関与が大きいことが示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.17.209