開胸手術症例から見た胸腺腫に対する胸腔鏡下手術の妥当性に関する検討

当科で行った開胸による胸腺腫手術症例67例を臨床病理学的に検討し, 胸腔鏡下胸腺胸腺腫摘出術を想定した場合の妥当性について考察した. 腫瘍が胸腺内に限局していると術中判断された34例中30例 (88.2%) は病理学的に被膜浸潤のない胸腺腫であった.肉眼的に合併切除の必要であった33例中4例 (12.2%) にリンパ節転移がみられた. 限局型胸腺腫に対する胸腺腫摘出術10例中1例の再発は, 切除に際して腫瘍が播種したものと考えられた. 播種性病変は可及的切除で4例中2例が5年以上生存した. 胸腔鏡下の胸腺腫に対する手術の適応は, 臨床的および胸腔鏡所見から非浸潤型胸腺腫であること, 腫瘍を露出...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 16; no. 2; pp. 101 - 105
Main Authors 赤嶺, 晋治, 岡, 忠之, 村岡, 昌司, 永安, 武, 佐野, 功, 近藤, 正道, 田川, 泰, 綾部, 公懿
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2002
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Summary:当科で行った開胸による胸腺腫手術症例67例を臨床病理学的に検討し, 胸腔鏡下胸腺胸腺腫摘出術を想定した場合の妥当性について考察した. 腫瘍が胸腺内に限局していると術中判断された34例中30例 (88.2%) は病理学的に被膜浸潤のない胸腺腫であった.肉眼的に合併切除の必要であった33例中4例 (12.2%) にリンパ節転移がみられた. 限局型胸腺腫に対する胸腺腫摘出術10例中1例の再発は, 切除に際して腫瘍が播種したものと考えられた. 播種性病変は可及的切除で4例中2例が5年以上生存した. 胸腔鏡下の胸腺腫に対する手術の適応は, 臨床的および胸腔鏡所見から非浸潤型胸腺腫であること, 腫瘍を露出することなく胸腺胸腺腫摘出ができることが必要と考えられた. 浸潤型胸腺腫と播種性病変は開胸への移行が必要と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.16.101