熱安定性が異なるポリアクリロニトリルおよびその共重合体の延伸挙動および延伸試料の構造と物性

本研究では, 200~300℃における環化反応の速度が異なるアタクチックポリアクリロニトリル (at-PAN), 約2mol%のコモノマーを含むアクリロニトリル/メタクリル酸共重合体 (AN/MAA), およびアクリロニトリル/アクリル酸メチル共重合体 (AN/MA) のゲルフィルムを二段延伸法により延伸し, 延伸挙動および延伸試料の構造と物性を検討した. その結果, 二段延伸時の最適な引張延伸温度は試料に依存せず170~180℃であった. 最大到達延伸比 (DRt, max) は, at. PANとAN/MAでは70程度であったのに対し, 低温でも環化を起こしやすいAN/MAAは高延性を示し...

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Published in高分子論文集 Vol. 59; no. 5; pp. 274 - 280
Main Authors 澤井, 大輔, 畠山, 和人, 金元, 哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2002
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ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.59.274

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Summary:本研究では, 200~300℃における環化反応の速度が異なるアタクチックポリアクリロニトリル (at-PAN), 約2mol%のコモノマーを含むアクリロニトリル/メタクリル酸共重合体 (AN/MAA), およびアクリロニトリル/アクリル酸メチル共重合体 (AN/MA) のゲルフィルムを二段延伸法により延伸し, 延伸挙動および延伸試料の構造と物性を検討した. その結果, 二段延伸時の最適な引張延伸温度は試料に依存せず170~180℃であった. 最大到達延伸比 (DRt, max) は, at. PANとAN/MAでは70程度であったのに対し, 低温でも環化を起こしやすいAN/MAAは高延性を示したものの, ほかの2種に比べ延性が低く, DRt, maxは45程度であった. AN/MAAの最高分子配向 (fc=0.988) は, ほかの試料 (fc=0.995) と比較すると幾分低かったが, 以前に引張延伸で作製されたPAN繊維で報告された最高値, fc=~0.97, と比較するとかなり高く, 高配向PAN繊維を作製するために二段延伸法が優れていることがわかる. 最高到達引張弾性率および破断強度は, すべての試料でDRt, maxにおいて得られ, at-PANではおのおの23, 0.95GPa, AN/MAでは24, 1.3GPa, AN/MAAでは20.5, 0.75GPaであった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.59.274